中國は多くの民族、多くの黨派が存在する國である。國の重要な施策、あるいは人民の生活にかかわる重要な問題について決定を行うにあたっては、執政黨である中國共産黨は必ず事前に各民族、各界、各黨派および無黨派民主人士と話し合い、認識の一致をみた上で、最終的な決定を行うことにしている。これが、通常言われている中國共産黨の指導下にある多黨協力と政治協商制度であり、中國の基本的政治制度の一つでもある。
多黨協力と政治協商においては、主として次の2つの形態がとられている。①中國人民政治協商會議、②中國共産黨中央と地方各級黨委員會の招集する民主諸黨派、無黨派民主人士の協商會、座談會、である。
中國人民政治協商會議は政府機関ではなく、一般の社會団體とも異なり、1949年9月に発足した最も広範な中國人民愛國統一戦線組織である。人民政協は全國委員會と省(自治區、直轄市)クラス、県(市)クラスなどの地方委員會に分けられており、中國共産黨、民主諸黨派、無黨派民主人士、人民団體、各少數民族、各界の代表、臺灣同胞、香港?澳門同胞、帰國華僑の代表および特別招聘人士によって構成されている。各クラスの委員會は全體會議を毎年1回開き、常時専門的活動や各地での視察を行って、國の重要な政治方針、地方の重要な事柄、人民大衆の生活、統一戦線の重要問題について討議し、意見、提案、批判を提出し、それによって、政府機関の活動および憲法、法律の執行情況に対して民主的監督を行う。人民代表大會が會議で問題を討議する際には、政協委員の列席參加を要請し、彼らの意見を広く聴取する。現在の中國人民政治協商會議全國委員會主席は李瑞環氏。
中國共産黨中央の指導者が民主諸黨派の指導者、無黨派民主人士の代表を招いて開催する協商會は普通毎年1回開かれ、座談會はほぼ2カ月ごとに1回開かれる。協商會は主として國の重要な政治方針に対し民主的協議を行うものであり、座談會は主として重要事項の伝達や意見交換、政策的提言の聴取や特定テーマの討議である。