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   元宵の燈篭
元宵の燈篭見物は、中國の民間でとても歓迎される、古今をつうじての風習である。『東京夢華録』には正月十五日元宵、大內(宮廷)の前に色とりどりの大きな仮小屋を建て、見物人は宮廷の前の道の両側に集まり、歌舞と百戯(曲蕓)などが演じられ、楽の音と騒ぎは十數華里に鳴りひびいたと記載されており、元宵節の盛況をリアルに描寫している。

この風俗の誕生は、古代の夜禁制度と関連がある。中國は周の時代から、庶民の夜間通行と集會を禁止する規定があった。このようなきびしい規則は正月の楽しい祭日の雰囲気にそぐわず、庶民の楽しい気分を抑圧し、そこなった。支配者は矛盾を緩和するためと、自分たちの享楽のために、太平をつくろって、祭日の期間にこの規則を少しゆるめたのである。『史記』―「楽書」によると、漢代に正月十五日夜、天帝を祭る儀式は夜通し行われ、初めて夜間も自由に外出することができるようになった。後世の夜間の燈篭見物はおそらくこれからはじまったと思われる。元宵に燈篭を飾ることは、南北朝のころすでに習わしとなり、南朝の梁?簡文帝は、かつて『列燈賦』を著わし、元宵に燈篭を飾る様子を次のように描寫した。油燈や漆燈があり、或いは線香を焚き、ろうそくを點じ、輝く燈火と月光が水面に映っていると。人々は燈篭遊びを楽しむほか、曲技や芝居などを観賞することもできた。

元宵節に燈篭を飾るため、燈篭造りは一種の特別な風格をそなえた蕓術になっている。この燈篭をいつごろから造りはじめたのか、記録に殘っていないが、言い伝えによると、戦國時代、魯班が宮殿を造営したときに、同時に宮燈を造ったのがはじまりだという。そうすると、少なくとも二千年あまりの歴史があることになる。燈篭の種類はたくさんあり、人物を描いたものには「嫦娥、月に奔る」「西施、蓮の実を摘む」「劉海、ガマとたわむれる」などがあり、花や果物を描いたものには、蓮の花、ぶどう、瓜、蓮根、牡丹、柿、みかんなど、動物には鹿、鶴、竜、馬、猿、鳳凰、金魚、鯉、かえる、えびなどがある。

 


 

 

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