ギリシャ危機の原因を探る①歐州中から斷罪される「ギリシャ式生活」
ギリシャの著名経済學者ヤニス?ストゥナラスは、この財政危機には歴史的な要因があると考える。1980年代にパパンドレウ政府が、政黨と労働組合からの圧力を受けて歳出を過剰に増やし、給與や年金などの福利厚生を充実させた結果、國庫はその重みに耐えられなくなったという見方だ。公務員の數が過剰であることも原因のひとつであるという。ストゥナラスの推計によると、政府機関の公務員の數は全労働人口の10%を占め、公共部門の従業員も計上するとその比率はさらに高くなる。これはそのまま財政の負擔の大きさを意味する。しかしもっと深刻なのは「全國民脫稅」現象である。ストゥナラスによると、政府が一年のうちに失う稅収は少なくともGDPの4%になり、100億ユーロに近い。
ギリシャでは納稅はどうでもいいことだと誰もが考えている。政府が罰則を法律で定めていないからである。政府が緊縮措置に著手したとしても、抜け道の存在を監視する者がいない。『デイリー?メール』によれば、財政緊縮措置に基づくと、自宅にプールを持っていたら所定の稅金を納めることになっている。しかし対策は実に簡単であり、「政府擔當者はオフィスに座ってグーグルアースで調査するだけだから、家主はプールに屋根をつければ、それで切り抜けられるのだ」ということである。
「稅金徴収がそんなにずさんなのに、政府はどうして湯水のように金を使えるのだろう? 多くのギリシャ人が言うには、その答えは「賄賂」と「政治獻金」だ」――とは『ウォールストリート?ジャーナル』に近日掲載の『ギリシャ財政危機の背景は汚職文化』という記事である。ワシントンのシンクタンク、ブルッキングス研究所が発表する予定の研究報告では、賄賂や獻金、その他の公職汚職によって毎年ギリシャ政府はGDPの8%にあたる200億ユーロ以上を失っているとされる。世界銀行とトランスペアレンシー?インターナショナルによる反腐敗ランキングにおいて、ギリシャはユーロ圏とEUの中で最下位である。トランスペアレンシー?インターナショナルの3月調査報告によると、昨年ギリシャでは13.5%の家庭が贈賄経験を持ち、平均で一家庭1355ユーロの贈賄額だった。「ギリシャの庶民は現金入りの封筒でもって車の免許証や病院の予約、建築許可をとったり、稅負擔を軽減してもらったりする」と報告書には記されている。
政権についてから腐敗の根絶を目指しているパパンドレウの発言によると、醫療サービスに高額の口銭がかけられるせいで、ギリシャの心臓バイパス手術はドイツの5倍もの費用となるそうだ。醫療システムの腐敗ぶりを示す例である。「政治家が腐敗しているのなら、何のために稅金を払うのだ? 払った稅金がどこに行くのか分かりっこないじゃないかと、ギリシャ人の多くが自問している」と彼は言う。
「中國網日本語版(チャイナネット)」 2010年5月11日