今月2日に発足したばかりの野田佳彥新政権の経済政策への方針が世間の注目を集めている。恐らく、消費稅の稅率を5%から10%に引き上げるなどといった増稅案を打ち出すだろうという見方が広がっている。また、野田新政権の政権構想には「法人稅5%引き下げ法案の早期成立をめざす」と明確に謳われており、日本経済の危機を克服するための財政出動による景気刺激策を新政権も重視していることが分かる。
この度の増稅にはどんな利益が見込めるのだろうか?
消費者、特に低所得層に直接大きな打撃を與えるのと引き換えに、財政赤字は縮小するだろう。為替市場でもこのまま円高傾向が続くかもしれない。もちろんこれは理論的に推測したものにすぎず、実際にはもっと複雑に絡む事情が待ち受けているだろう。日本ではかねてから消費稅をめぐる政治力學的な爭いが繰り返されてきた。歴代首相がこの問題を取り上げては失敗している。1997年、橋本元首相が3%の消費稅を5%に引き上げることで財政難を克服しようと試みたが、結局、稅収は大きく落ち込み、予算赤字脫卻できないばかりか膨れ上がる一方で、日本経済をますます混亂させる要因となった。
増稅実施初年度から5四半期連続で経済は萎縮し、日本経済は戦後復興期以來の危機的狀況に遭遇した。日本経済が不況からなかなか脫卻できない原因は消費稅を筆頭とする一連の財政政策にある、と表現するエコノミストもいるほどである。
増稅には、野田新首相の強気の態度が現れている