中國の大幅な失速は世界経済が今年直面する最大のリスクの一つとされている。中國政府と中國人民銀行（中央銀行）は貸付を引き締め、管理の行き屆かない「シャードーバンキング（影の銀行）」の是正に取り組んでいるが、中國にはこれと同じ程度、あるいはそれ以上重要な二つの重要な任務を抱えている。

「三中全會」では、「経済構造調整」、「黨の指導の堅持」、「金融改革および貸付の引き締め」の３つの重點事項が決定された。ここでの問題は、この３つの目標が衝突した場合どうなるのか、ということだ。

これまで中國の指導者とエコノミストたちはこの點を認めようとしなかった。しかし、ここ數ヶ月の間でこの問いに対する答えが鮮明になってきた。政府も目標達成に向けて力を盡くしてはいるものの、その一方で二兎を追うものは一兎をも得られないということを認めざるを得なくなっている。仮に重大な衝突が発覚すれば、成長率が最優先されることが予想されるが、中國にとっても世界経済にとってもそれが最も賢明な選択となるだろう。

しかし、経済成長を維持し、貸付緊縮を避けて通ると決めたところで、中國にそれをする能力が果たしてあるだろうか。米政府の管理下にあった中堅の投資銀行でさえ近代史上最大と稱される金融危機を招いてしまったのに、何を前提に中國に期待すれば良いのか。ワシントンが危機回避のために真剣に向き合わなかったということも原因の一つだが、むしろ米財政部はリーマンブラザーズを破産を後押しし、政府による銀行救済には限界があるということを示した。この點、特に行員出身の官僚は同じような表現をしている。これは中國発のリーマンショックが起こす可能性があり、経済成長前の狀態へと後戻りことを意味しているのだろうか。

中國は一枚巖の集権國家だとされている。しかし、経済政策においては激しい議論が重ねられている。そのため、この國が発信する情報はしばし混亂しており、海外の金融界はしばしお手上げ狀態となっている。海外では銀行マンは政治家よりも権威があると本能的に考えるが、中國では違う。金融システムが立ち遅れた中國で金融の安定を図ることができるのか、という問いに対する答えは「イェス」だ。中國で主導的地位にある國有銀行は、実際には中央政府の分枝であり、民間金融機関が構成する複雑なネットワークよりもむしろ安定している。國がコントロールする銀行は資本分配において効率に欠けるが、政府が破産しないかぎり破産に追いやられることはまずない。中國は世界で最も減債能力のある経済體であり、しかも政府には銀行と地方政府を支えるに十分な予算がある。より重要なことは、中國の貿易利益は世界最大規模で、クロスボーダー資本の流動を完全にコントロールし、莫大な外貨備蓄がある。中國の金融システムにリーマン式の崩壊が起きると賭けることは、3.5兆ドルで北京に挑戦することを意味するのだ。（作者：Anatole Kaletsky）

?中國網日本語版(チャイナネット)?　2014年3月2日