2. 上海、北京、深圳を始めとするトップ10都市は順位が変わらず
2021年中國都市GDPランキングでは、順に上海、北京、深圳、広州、重慶がトップ5を飾った。この5都市の経済規模は他都市を大きく引き離している。6位から10位の都市は、順に蘇州、成都、杭州、武漢、南京の5都市であった。
明暁東元公使參事官は、「2021年GDPランキングトップ10都市の順位は前年度と変わらなかったが、コロナショックでほぼ4%以下を徘徊した前年度より、成長率は大幅に加速した。7%前後の深圳と南京を除き、他の8都市はすべて8%以上の経済成長を実現した。とくにコロナショックを最も受けた武漢市は、前年度4.7%のマイナス成長からリカバリーし、12.2%の高度成長を成し遂げた。
3. 一國経済規模に匹敵するまでに至った中國の都市力
中國では北京、上海、重慶、天津の四大直轄市が人口規模、面積そして中樞機能と産業集積などにおいて他都市と比較して格別である。グローバルサプライチェーンの展開をベースにした沿海部都市の発展は著しい。深圳、広州の経済規模はすでに重慶、天津を超え、北京、上海と並び、中國で「一線都市」と呼ばれるようになった。
四つの「一線都市」の経済力は、どれほどなのか?周牧之教授は、「2021年上海の経済規模は世界の國別GDPランキング24位のスウェーデンを超えた。北京は同25位のベルギーを、深圳は同32位のナイジェリアを、広州は同33位のエジプトを超えた。いまや中國の都市は一國の経済力に匹敵するまで成長した」と解説する。
明暁東元公使參事官は、「GDPランキングトップ10都市は、中國の主なイノベーション基地で、國際競爭の擔い手となっている。この10都市はさらに多くの都市の発展を觸発し牽引している」と語っている。
4. 中心都市と製造業スーパーシティという二つの大きな存在
改革開放後とくにWTO加盟以來、中國では都市の逆転劇が激しく起こっている。中でも、一漁村から出発した深圳が、過去20年間でその経済規模を18.4倍へと膨れ上がらせ、GDPランキング3位を不動としたのに対し、直轄市の天津はトップ10から脫落したことが象徴的である。
GDPランキングは中國全297地級市(地區級市、日本の都道府県に相當)以上の都市をカバーする。このなかでは四大直轄市、22省都、5自治區首府、5計畫単列市からなる36「中心都市」の存在感が際立つ。GDPランキングトップ10には9中心都市、トップ30には19中心都市がランクインし、中心都市の優位性も明らかとなった。まさにこの36中心都市が改革開放以來の中國社會経済の発展を主導したことが見て取れる。
GDPランキング30のもう一つ大きな存在は、「製造業スーパーシティ」である。トップ30には蘇州、無錫、仏山、泉州、南通、東莞、常州、煙臺、唐山、徐州、溫州といった11の非中心都市がランクインした。とくに蘇州はトップ10の6位に食い込んだ。この11都市は、すべて沿海部に屬する製造業スーパーシティである。
周牧之教授は、「改革開放以降、中國の急速な工業化を牽引してきたこれらの製造業スーパーシティは、グローバルサプライチェーンのハブとなっている」と指摘している。
図3 2021年中國都市GDPランキングトップ30