調査によると、大學生の7割以上が表情包(絵文字、スタンプ、ステッカーなどの総稱)を利用し自分の感情を表現している。また回答者の6割以上が、表情包は友好を示しやすく、また表情包により緊張を和らげるとした。確かに表情包は近年、さまざまなソーシャルシーンで使用されている。多くの若者はバーチャルのコミュニケーションで表情包が不可欠になっている。
ステッカーの起源は米國人が発明した笑顔の記號だ。その後さらに顔文字、笑顔、絵文字、キャプション付きの畫像、動く畫像といったさまざまな表情包が派生した。検索エンジン「Emoji」の創業者は2014年より、毎年の7月17日を「國際絵文字デー」としている。表情包はソーシャルアプリの広い普及により流行した。ユーザーはアプリ內に最初から入っているもののほか、自分でデザインした自分だけの表情包を発表できる。ソーシャルアプリは人々の交流を徐々に顔合わせの意思疎通からオンラインに移行させた。バーチャルな交流で表情包を使う若者が増えている。
表情包はオンラインの文字による交流の重要な補完と見ることができる。顔合わせの意思疎通と異なり、オンラインの文字による対話は相手側の狀態や気持ちを察するのが難しいが、表情包を送ることでこの不足を補える。適切な表情包を送ることでネガティブな感情や不満を表現でき、情報を受信する相手側の緊張を和らげられる。表情包はさらに言葉の難しいニュアンスを把握できなくても、気軽に選び送ることができる。
また表情包は同じ內輪の人、もしくは同じ世代の「暗號」になる。新メディアに詳しい彭蘭教授は、「表情包は世代もしくはグループを區別するレッテルになる。より親密で気の合う人との間で使用される表情包はより具體的で活き活きとしている。これは目下の人が目上の人に表情包をあまり使わない理由でもある。各グループの內部には、その固有の意思疎通の暗號や文化的な符號がある」と記している。
若者が使用する表情包はユニークで皮肉なものが多いが、中高齢は靜かで穏やかで前向きなものが多い。これは同じ表情に対する世代間の認識の差を生んでいる。例えば中高齢者は微信(WeChat)の「微笑み」を喜んでいる表情と見るが、若者は皮肉で冷たい作り笑いと見る。「辛い」「バイバイ」などの表情と同じく目が下を向いており、ストレスによる笑顔のように見えるからだ。
表情包はネット上のサブカルで、若者が追い求める新しいライフスタイルを示している。表情包は単獨で存在しているわけではなく、現在の社會のホットな話題やネット流行語と密接に関連している。ネットワーク技術は若者に力を與える。すべてのネットユーザーが表情包の生産と共有に加われる。このサブカル的な屬性を持つ記號は言葉遣いのハードルを下げた。
しかし表情包を使う時にも文字の力を無視できない。表情包の內容と解読には非理性的要素と不確実性があり、雙方の交流における誤解と認識のズレを生みやすいからだ。畫像もスクリーンショットも、表情包は淺いレベルの斷片化された表現、オンライン交流の補助的手段に過ぎない。これは音聲もしくは文字の交流における深い思考と実感には遠く及ばない。人と人の交流の真の目的は、雙方のより良い心の理解を目指すことにあるのだ。(筆者?武漢市社會科學院研究員補佐)
「中國網日本語版(チャイナネット)」2021年12月15日