ひとつまみの紅茶、一匙の砂糖を弱火で炒め、これに「味の秘訣」の茯苓と陳皮を加え牛乳でゆっくり煮込むと、薬の香りが漂う。陳爽氏は味見をし、自分の腕前に満足する。
陳氏は長春市中醫院の若手醫師で、中醫薬の専門知識を使い自分に健康的な「新製品」を作ることがある。
伝統的な中醫薬は近年、Z世代を中心とする中國の若者の日常生活に徐々に浸透し、新たな中國式「養生ブーム」を起こしている。以前は水筒にクコの実を入れたが、その後に中醫薬を入れた酸梅湯が大ブームとなり、さらに中國醫薬ミルクティーの人気に火がついた。「飲」という一文字だけでも、その進化の歩みを見ることができる。
艾媒咨訊が今年発表した「中國中醫薬ティー業界消費行為調査研究」のデータによると、中醫薬ティーに注目し、これを試す消費者が増えており、購入意欲が高まっている。「従來のティーよりも中醫薬ティーを購入したい」とした消費者は75.47%で、「中醫薬ティーの機能と効果に満足している」は7割以上。
長春市中醫院本部脳疾患科の何威副主任によると、若者の健康消費の観念に変化が生じている。今や多くの人がプロの醫者や薬剤師に問い合わせをしている。また若者は「良薬」を求めながらも「口に苦し」を望んでいない。そのため中醫薬ティー、入浴剤、中醫薬香り袋などが適している場合が多いという。「飾りになる中醫薬香り袋には適量のハッカが含まれ、鼻炎の癥狀を和らげる。沈香が含まれるものはリラックス効果が期待できる」