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特別寄稿:中國文化の「根」が持つ魅力

中國文化といえば、日本人が誰でも思い浮かべるのは、あの「子曰く???」で始まる『論語』の一節(jié)であり、孟浩然の「春眠暁を覚えず???」、杜甫の「國破れて山河在り???」などに代表される漢詩の世界である。これら古典の名作は日本では高校の國語の教科書に出てくるので、知らない人はほとんどいない。文蕓以外では、何と言っても萬里の長城や兵馬俑である。これらはその巨大さで日本人を圧倒し、大陸の建造物のスケールの大きさに驚かされるのである。また、中國で書道、水墨畫などの名品に接すると、やはり本場の中國にはかなわないと思う。

ところで、このような、形に現(xiàn)れたごく一般的な中國文化とは別に、中國には日本人の心をとらえて放さない不思議な魅力があるような気がする。これは「文化」そのものというより、文化を生み出す土壌、文化的風(fēng)土に當(dāng)たるものである。近代になってから日本では「茫漠とした大陸の魅力に取りつかれる」という言葉がしばしばささやかれ、中國に渡って半ば放浪同然の生活を送るいわゆる「大陸浪人」を生んだ。彼らに共通しているのは「狹い日本には住み飽きた」という小さな島國?日本への訣別宣言である。その時、彼らの脳裏には中國大陸の果てしない世界が夢のように広がっている。

大陸には謎に包まれた怪しい魅力があるという想いは、遠(yuǎn)く奈良時代にすでに存在していた。井上靖の歴史小説『天平の甍』に戒融という遣唐留學(xué)僧が出てくるが、彼は「この國には何かがある。この広い國を経廻っているうちにその何かを見つけ出すだろう」と言って寺を出奔、托鉢僧となって広い大陸を歩き回る。この場合の「何か」とは言葉では表現(xiàn)できない、中國にのみある獨特の風(fēng)土的な魅力を指していると考えられる。風(fēng)土はイコール文化ではない。が、文字どおり文化を生み出す「風(fēng)」と「土」であり、そこに生きる人々の生活をも包み込んでいる。したがって、風(fēng)土は自然とも違う。自然と人間との絡(luò)まりあったものである。

文化の「根」に當(dāng)たる部分というのは、すぐれて民衆(zhòng)的なものである。禪宗(日本は仏教もまた中國から學(xué)んだ)の公案に「父母未生以前の本來の面目は如何に」というのがあるが、中國にはさまざまな文化が生まれてくる以前の原初的な人間の姿が今なお息づいている。日本の10倍の13億の人口、55の少數(shù)民族、日本の25倍ある國土、しかも自然條件は各地各様、変幻自在である。総括的、類型的に中國を語ることは不可能に近い。中國のすぐれた文物は、知識人?文化人が彼ら庶民の生活を下支えにしてその底力を変容させて造り出したものである。中國文化の奧深さは、この文化未生以前の「根」の部分の深さを物語っていると言えよう。

中國文化にあこがれ、大陸の風(fēng)景の美しさに魅入られて中國を訪れる人は現(xiàn)在も後を絶たない。しかし、この「根」の部分に気づいている人は案外少ないのではなかろうか。?

???????????????????????????????????????????(作者は元山東大學(xué)?中國海洋大學(xué)日語専家 巖下壽之)

「チャイナネット」2007年3月19日

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