今後の経済発展の動向について、多くの中國メディアは、1980年代中ごろの日本のバブル経済と現在の中國経済の動きを比較し報じている。日本経済を參考にする意味はあるが、経済問題を比較し參考にするには正確な參考対象を探す必要があり、経済発展段階の異なる2つを比較してはいけないと筆者は考える。でなければ、民衆を誤った方向に導くことになる。発展段階、マクロ経済の狀況を見ると、中國の現在の経済狀況は1980年代の日本と大きく異なり、中國経済が日本のような「長期低迷」に陥ることを心配する必要はない。
1970年代中ごろから80年代初め、日本はその他の先進國より早くオイルショックの影響から脫し、資本主義世界の「ツワモノ」となり、日本経済は歴史上もっとも輝かしい時期を迎えた。政治家から庶民まで、全國民が冷靜さを失い始めた。1990年代初め、筆者が日本で博士課程の入學試験を受けた際の論文の一つに「米國経済が日本に及ばないのは、米國人が怠けているからだ」という內容があった。このような自己満足がもとで、日本はバブルに対する警戒を失った。
中國は現在、日本を真似て世界第2位の経済大國になろうとしており、國內の資産価格は上昇を続けているが、日本のようなバブル経済になる可能性は低い。なぜなら、中國と日本の経済発展段階は異なるからである。日本は當時、すでにポスト工業化社會に突入し、都市部と農村部の差は縮まっていた。各家庭が乗用車や冷蔵庫、エアコンなどを1臺ずつ保有するなど、國內市場は飽和狀態だった。しかし中國はまだ工業化の初期?中期段階で、多くの農村市場が開拓されておらず、大きな発展余地がある。
産業構造の面で言うと、80年代中ごろの日本にはすでに先進國型の産業構造が出來上がっており、生産構造にしても就業構造にしても、第一次産業は5%以下に低下し、第三次産業は50%を超えていた。しかし中國では、農業就業人口は依然として50%を占めている。