香港紙『文匯報』はこのほど、「広島被爆65周年の平和祈念式典に駐日米大使が初めて出席し、表面上はオバマ大統領の『核兵器のない世界』を目指す決意を示したが、実際は、米國はダブルスタンダードを貫いており、これを機に道徳面で優位に立ちたいためである。なかでも特に微妙なのは日米の関係だ。日本は始終、米國の影から抜け出せずにいる」と報じた。記事の概要は以下の通り。
米大使が初めて出席
広島市は6日、被爆65周年の平和祈念式典を挙行した。原爆を投下した米國は初めて駐日大使を出席させ、日本政府から歓迎された。外部はこれを、オバマ大統領が任期中に広島を訪問する道をつけたと見ているが、広島に原爆を投下した爆撃機の元機長ポール?ティベッツ氏の息子、ジーン?ティベッツ氏は、「無言の謝罪」に等しいと不満をあらわにした。
同じく國連事務総長として初めて出席した潘基文氏は、「人類はいまだ核兵器の陰におびえながら暮らしている。國際社會は非核化の夢を実現するために努力し、大國は核軍縮の問題でリーダーシップを発揮しなければならない」と強調した。
ルース駐日米大使は式典の間、硬い表情を崩さず、メディアの質問にも答えずに、式典が終わると1時間もしないうちに新幹線で広島を離れた。
広島市の秋葉忠利市長は、「日本は非核三原則の法制化と米國の「核の傘」からの離脫を実現しなければならない」と訴えた。これに対し菅直人首相は記者會見で、「不透明、不確実な要素が依然として存在するため、日本は引き続き核抑止力を保持する必要がある」と述べた。
米國は1945年8月6日に広島に1発目の原爆を投下、3日後には長崎に2発目を投下し、合わせて30萬人以上が死傷した。重大な打撃を受けた日本は8月15日に無條件降伏を宣言し、第二次世界大戦は終わった。
平和祈念式典の前夜、ヒラリー米國務長官は、「広島原爆の日を心に刻むことは適切なことだ」「オバマ大統領は核兵器のない世界の実現に向けて努力している」と述べた。
しかし米國內では抗議の聲があがっている。18萬の參戦軍人たちの聲を代弁する米退役軍人協會は、「ルース大使の出席には反対はしないが、決して謝罪と誤認されてはならない」との聲明を出した。
ホワイトハウスの高官によると、現時點ではオバマ大統領が被爆地を訪問する計畫はない。オバマ大統領は以前、広島と長崎を「いつの日か訪問したい」と話している。しかし米國內では「原爆の投下は一刻も早く戦爭を終わらせるために必要だった」とする意見が根強く、退役軍人や保守派は現職の大統領が被爆地を訪問することに反対すると見られる。