中國の公的年金の積立不足が徐々に膨らんでいる。その額は今や約1兆3千億元に達していることが、中國社會科學院世界社會保険研究センターの鄭秉文主任が今年7月に発表した研究結果で明らかになった。05年に世界銀行は、現在の人口と年金受給システムから計算して、中國の公的年金積立不足額は2001年から2075年に9兆1500億元に達すると報告した。これには通貨の購買力低下は考慮されていない。「中國証券報」が伝えた。
積立不足額を補てんするには國有資産の割り振り、年金徴収対象と比率の拡大、投資収益の増加などいくつかの方法があるが、これらの方法がどれも難しい場合、フランスに學んで退職年齢を延ばし、人為的に高齢者の定義を60歳から62歳、さらには65歳に変えることができる。
年金徴収対象と比率の拡大は中國では難しい。中國では企業と個人にかかる年金負擔が重く、働いている人はすでに年金體制改革後の高額の年金を負擔している。年金の積立不足を解決する方法として、國有資産を年金に割り振る割合を増やしたり、年金の投資利益を拡大したり、現在の年金システムを改革するなどがあげられる。
通貨環境が大きく緩和され、インフレ予測が懸念される経済狀況下にあっては、通貨が下落する前に年金投資をするしかない。年金基金にとって最も重要なのは公平を前提に投資収益を第一原則とすることだ。
通常、年金基金は安全遵守を第一原則とし、投資がインフレ率を上回るのを基準に、通貨の実質購買力が低下しないよう確保している。
だが投資市場に絶対的な安全とリスクはない。投資レベルが高いかどうかの違いがあるだけだ。リスクが低ければリターンも望めない。例えば日本の年金基金の大部分は収益率が極めて低い日本國債に投資し、日本の一風変わった刺激政策に貢獻しているが、日本の高齢者には何ら利點はない。
投資をするからには損することもあれば儲かることもある。長年利益を出していてもサブプライム問題のような焦げ付きが一旦起きればそれまでの苦労も水の泡となる。サブプライム問題が起きた07年、日本の年金は5兆8400億円の赤字を出した。
日本の年金が赤字を出したのはこの時が初めてではない。01年、02年にも過去最高となる累計損失総額6兆700億円を出している。年金の投資運用を擔當する「年金積立金管理運用獨立行政法人」は4-6月期の運用結果について、3兆5898億円の赤字と発表、収益率は?2.94%だった。日本の年金は海外投資を増加したことで金融危機の巻き添えになった。これは投資の目のつけどころが甘かったとしか説明できない。ましてや、投資に失敗したことの証明とはならない。
中國の社會保障基金は國內投資において何度も安く買って高く売るのに成功しているが、もちろんこれが市場の常態と化してはならない。中國の社會保障基金、年金基金にはまだ困難は到來していない。中國の資産価値がピークを過ぎれば年金基金は本當の意味での試練に直面することになる。
「人民網日本語版」2010年9月9日