北京で販売されている「ホウレンソウ」に「汚染なし」の文字
テレビニュースが「ホウレンソウ」を悪夢に引き込んだ。
原発事故から毎日ニュースを欠かさないという広州の中年女性。彼女は「ホウレンソウ」が「毒」になったと信じて疑わない。買わないだけでなく、「ホウレンソウが売っているところには近寄らないわよ」という。25歳北京の男性は緊張しきっていた。昨日、ホウレンソウを食べてしまったというのだ。「なんだか、のどが変だし、放射性物質で甲狀腺にできものでもできちゃったんじゃないだろうか」
ホウレンソウは悪夢に
日本の震災で、福島第一原子力発電所の事故が発生してから、中國の放射能関係の流言飛語はとどまるところがない。4月6日,中國の國家原子力事故緊急調整委員會が発表した情報によれば、「北京、天津、河南等の地區でホウレンソウ表面にきわめて微量の放射性ヨウ素-131が検出された。」という。
多くの人はこの検査結果の後に続いている言葉を完全に見過ごしてしまう。「この含有量は《國家放射能防護と放射能源安全基本標準》で定められたレベルの千分の一から千分の三にあたる。」ある人は「半年は葉物野菜を口にしない」と言う。
ホウレンソウに似ている昆布もやり玉だ。天津の女性は「昆布はヨウ素含有量が一番高い食物だわ……絶対に食べちゃダメだわ。」
日本から2000㎞も離れている中國で,終わらない悪い情報に右往左往する人々。今回は、アニメヒーローのポパイでもホウレンソウを救うことはできまい。
日本料理店ももっと大騒ぎだ。店員たちでさえも身の厚いサーモンや新鮮なエビを見て、ノルウェーや中國の大連産だと説明する。真面目な中國人はやはり食べに行かない。日本料理が流行している香港でも、今回1/4の店舗がすでに閉鎖している。
同様に一種類の食品が恐慌の標的になりやすい。 3月中旬,「食用ヨウ素入り塩で放射能を防止できる」という情報が電話、メール、SNSなどを駆け巡った。中國人は大挙して「塩爭奪運動」を展開、その有様は米國《ニューヨークタイムズ》でも報道された。