日本の震災は世界中の自動車産業チェーンに大きな動揺をもたらし、日本政府と企業の再考を促すものとなった。加速する日本企業の中國市場への産業移転を、中國の自動車及び自動車部品メーカーは、「挑戦」と見るべきか、「チャンス」と見るべきか。『毎日経済新聞』は、中國社會科學院全國経済研究會の白益民理事と國務院発展研究センター王青副研究員に話を聞いた。
記者:日本の中小部品製造企業が集団で中國に部品工業地區を建設予定だが、これは日本の自動車部品産業にとって何を意味するのか。
王青氏:まず、自動車部品産業の中國への移転は偶発的なことではなく、「十一五(第11次5カ年計畫)」の時期にすでに明確になっており、今回の地震はその進展を早めたに過ぎない。日本の部品メーカーにとって、中國市場での競爭力を持続させることが、自動車産業全體の競爭力を維持、発展させるための重要な手段となるだろう。次に、中國等、新興製造國の自動車需要が高まるにつれ、日本國內の部品供給のプレッシャーは日増しに大きくなっており、中國での工場建設はそのコスト削減につながる。更に、今後の中國においては、新車製造だけでなく、部品供給でもその潛在市場が期待できるため、日本の部品メーカーにとっては、より大きなチャンスとなる。
白益民氏:日本企業は、これまで製造の中核を日本國內に置き、物流方面においても有効なシステムを構築しており、それは歐米企業への商品供給にも役立っていたが、今回の地震でそれが崩壊してしまった。日本の完成車メーカーは、その多くが2~3年の間に元を取っており、その後に続く部品メーカーもより多くの利益を得るために中國移転を行う。
記者:部品産業に大きな傷を受けた日本メーカーが今後打ち出す策略とは?
王青氏:震災後、短期間で以前の生産規模まで回復させることは難しく、中國への産業移転を急がねばならない。また、自然災害によるリスクを回避しようとする動きは、日本國內の雇用問題や技術の秘密保持等より優先されるようになるだろう。それと同時に、部品工場の移転はあくまでも製造段階の部分のみであり、研究開発は継続して日本で展開する。こうすることで、日本の部品製造における競爭力の核心部分は保持したまま、世界の自動車産業価値チェーンの変化に対応することができる。
白益民氏:日本企業の海外移転は、日本政府にとって、稅収の減少や人材の流出等、マイナス面も大きく、プレッシャーだった。しかし今回の地震で、日本政府の態度も変わってきた。また、長期に渡る市場模索により、自身を産業チェーンと強く結びつけることに成功した中小企業としては、中國にその技術を奪われる心配もない。