ロシアのラブロフ外相は15日に訪日し、日本の岸田文雄外相と會談した。岸田外相は會談終了後の共同記者會見で、「今後の(北方領土の)交渉を推進する、積極的な話し合いとなった」と成果を誇った。
ラブロフ外相は領土問題について、「(日本が)第二次大戦の結果を認めなければならないという前提に変わりはない」と力強く言った。分かりやすく言えば、日本は敗戦により領有権を失ったのだから、そもそも交渉の余地はないということだ。しかしながらロシアは領土問題の交渉に同意したわけであり、日本はこの配慮を理解しなければならない。
メディアによると、これはロシアが日本をあしらう常套句だ。ラブロフ外相は岸田外相のいる場でさらに一歩踏み込み、「雙方が受け入れられる解決策を見つけるためには、すべての分野で例外なく協力を推進しなければならない」「両國関係をすべての分野で発展させるためには、正常な関係を妨げるものを排除しなければならない」と言い切った。
一言目は、経済協力を実現しなければ、領土問題を巡る交渉に同意しないという意味だ。二言目は、日本がウクライナ問題による対ロ制裁を解除しなければ、両國関係が改善されることはないという意味だ。婉曲的な言い回しであるが、現狀を維持すれば領土問題の交渉は難しいという、脅迫の意味合いが込められている。
しかしながら日本側は今回の會談を、「非常に理想的で、積極的かつ前向きだ」と評価している。これにはまったく根拠がないとは言えない。ラブロフ外相は領土問題の交渉について、「いかなる環境下であっても対話を継続する」と表明し、平和條約締結後に歯舞群島と色丹島を返還するとした「日ソ共同宣言」(1956年)についても、「これを踏まえた上で取り組みを続けていきたい」とした。
ロシア政府の內部に詳しい、日ロ外交筋は次のように分析した。
「プーチン大統領はラブロフ外相に、日本に対する強硬な役割を演じさせているが、自らは穏やかな姿勢を示し、日本に揺さぶりをかけている。クレムリン(ロシアの大統領官邸)は、悪役を演じてきたラブロフ外相に、領土問題の穏やかな発言をさせることで、日本に期待を抱かせようとしている」
プーチン大統領とラブロフ外相は日本に圧力をかけつつ、日本に期待を抱かせる発言を繰り返しているが、これにはどのような理由があるのだろうか?日ロ関係に詳しい人物は、「ロシアは主要7カ國(G7)による対ロ包囲網の突破を主な目標としている。プーチン大統領と何度も會談している安倍首相も、これを意識しているだろう。しかし領土問題の交渉を進めるためには、プーチン大統領に歩み寄るしかない。安倍首相の5月上旬の訪ロは、困難な外交の旅となるだろう」と指摘した。
「中國網日本語版(チャイナネット)」2016年4月27日