麗澤大學特任教授 三潴 正道
「日本兵は隨分ひどいことをしたのよね」
「まあね。あんまり話したくないけど、やっぱり知っておいて欲しいこともあるよね」
「私、先生から聞いた話ですごいショックだったことがあるの」
「ふーん、どんな話か聞いていいかい?」
「いいわよ。ちょっと辛いけど、中國人はもっとつらい思いをしたんですものね」
「---」
「その話っていうのはね、先生がある喫茶店で聞いた話」
「どこの喫茶店?」
「先生の家のすぐそばの小さな喫茶店、近所のお年寄りのたまり場なんですって」
「誰から聞いたの?」
「もう90才を過ぎたお年寄。最近亡くなられたそうよ」
「話を聞ける最後のチャンスだったんだね。で、どんな話?」
「その人、戦前は北京飯店で働いていた日本人コックさんだったの」
「へーっ、その頃、北京飯店の廚房に日本人がいたんだね」
「で、戦爭が始まったら徴用されて、日本軍の師団長付きコックさんになったそうよ」
「じゃあ、各地を転戦したんだね」
「先生が聞いたの。煮炊きするのに薪の調達が大変だったでしょうね、って」
「北方は木が少ないからね」
「そうしたら、そんな心配全くなかったよ、って」
「どうやって手に入れたのかな」
「ひどいのはその先の話。村で設営したらすぐお墓を探します」
「お墓?」
「そう、掘り起こせばお棺がある。お棺は木でできているでしょ」
「それを薪にしたんだ!遺骨はほっぽらかし!?」
「でしょうね。孝を大事にする中國文化に対して最大の侮辱よね」
「それはあんまりだ!」
「先生もすごくショックだったって」
「僕もショックだよ!」
「そんなことをして、“侵略”しませんでした、なんてとても言えないわ」
「日本人のみんながそう思って欲しいね」
「戦爭のときは多かれ少なかれ互いに殘酷なことをするんだって言う日本人もいるけど」
「君はどう思うの?」
「そういうことってお互いさまって帳消しにすることじゃないわ」
「その通りだよ。やったことには責任を取らなくちゃね」
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「中國網日本語版(チャイナネット)」 2017年7月4日