渋谷は東京の交通の中心地だ。人々は地下鉄、JR線、バスでここに集まり、四方八方に向かう。そのためここの最も有名なスクランブル交差點は、日本で最も広告料の高いエリアになっている。
青信號になると、歩行者が水が流れるように行き交い、とどまることなく押し寄せる。犬の像は靜かにそばで佇み、駅の方を見ながら首を長くして待っている。これは日本で誰もが知る、忠犬ハチ公だ。
ハチ公は1923年に生まれ、東京大學の上野教授の家に贈られた。ハチ公は成長しながら、教授の最も忠実なパートナーになった。毎朝ハチ公は教授を駅まで送り、夕方になると駅前で帰りを待った。雨の日も風の日も、暑い日も寒い日も。
數年後のある日、教授が大學で突如病死した。ハチ公は教授に會えなくなった。ところがハチ公は毎日時間になると、駅前に姿を現した。一日、また一日と、悲しみながら死ぬその日まで。
人々はその後、ハチ公の忠誠心を記念するため、毎日待っていた場所に銅像を立てた。ハチ公の物語は映畫や本の影響により、世界各地に伝わっている。
筆者もいつの間にか、ハチ公のそばに來ていた。銅像は人よりも大きく、多くの部分が人になでられ滑らかになっている。この目立たぬ銅像を眺めながら、筆者は溫かな感動に包まれた。ハチ公と主人は天國で再會できたのだろうか。
周囲は人で混雑している。銅像は今日、東京人が待ち合わせをするスポットになっている。最も混雑する場所で會いたい人を待つ。穏やかな目で、人の流れを見る。彼らはハチ公と同じく、靜かに聲も出さず、同じ方向を見ながら待っている。