幼い頃に真っ赤なふじりんごを食べ、富士山麓で採れたものだろうと想像していた。成長すると富士フィルムの商品をよく用いるようになり、富士というだけはあり、ひんやりした印象の寫真が撮れると感じていた。
以前に何度か日本を訪れたことがあるが、富士山に登ろうとは思わなかった。あまりに有名すぎて、足が遠のいたのだ。しかし今回は、逃すわけにはいかない。
日本最高峰である富士山は、日本人にとって最も重要な聖地である。富士山は古來より最も広く詠まれている題材だ。標高は3700メートルほどしかないが、火山で形成された現(xiàn)在も不眠の活火山であることから、美しい円錐型を持ち雪に覆われている。遠くから眺めると逆さまにした玉扇のようで、優(yōu)雅な趣を內(nèi)に秘めている。
日本人は富士山を眺める角度から、男富士、女富士に分けている。毎年7、8月になると、日本各地からの登山客が五合目から徒歩で出発し、霊山を巡禮する。一年の大半の期間、富士山は立ち入り禁止となっている。