麗澤大學特任教授 三潴 正道
「でも、それぞれの高原は平らで傾いていないんじゃない?」
「どういうこと?」
「昔の人はそんな遠くまで行かないから、東に黃土高原だ、平野だ、海だってわかるの?」
「川だよ川、川が東に流れるから高低がわかるんだ」
「なるほど。じゃあ、中國に人は河は東に流れるものだって思っていたのかしら」
「その通りさ“付諸東流”って成語知ってる?」
「知らない。どう言う意味?」
「これは実は“付之于東流”のことなんだ」
「漢文読みしたら、えーっと、“これを東流に付す”だわ」
「へえ、大したもんだね。で?」
「東へ流れる川に任せてしまうってことよね、流れに任せる、か。」
「そう、流れちゃうんだよ」
「そうか、お流れになる、おじゃんになるってことだわ!」
「その通り!」
「それは解ったわ。けど、なんで東に傾いているの?」
「昔ね、二人の神様が喧嘩した」
「誰と誰?」
「水の神、共工と火の神、祝融」
「水と火が戦ったら、水の勝ちだわ」
「ところが勝ったのは祝融だ」
「まあ、情けない!」
「負けた共工は悔しがってさ、天を支える柱だった不周山に額を打ち付けた」
「まあ、コブができない?」
「どころか、不周山のほうがポッキリ折れちゃった」
「えっ、天を支える柱だったんじゃないの?」
「そう、それが折れちゃった」
「大変だわ、天が崩れる!」
「とまではいかなかったんだけど、天地が傾いた」
「一大事じゃないの」
「それだけじゃない、穴ができてそこから水がだだ洩れ、大洪水が起きたんだ」
「何とかしなくちゃ、どうするの?」
「と女媧も思った。そこで五色のレンガを作って穴を塞いだってわけ」
「フ―ッ、一件落著ね」
「まださ。新しい柱が必要でしょ」
「中國網日本語版(チャイナネット)」2018年7月30日