麗澤大學特任教授 三潴 正道
「でもさ、美女に関する話って、やっぱり興味ない?」
「私は女ですからね、あまり---」
「日本で美女って言ったら誰になるの?」
「世界三大美女はクレオパトラと楊貴妃と小野小町だから、小野小町ね」
「世界三大美女に日本人が入るところは日本びいきだね」
「まあね。でも、中國も楊貴妃が入っているじゃない」
「中國で三大美女って言ったら、西施と王昭君と楊貴妃だ」
「楊貴妃って長恨歌で有名よね」
「そう、知ってる?」
春寒くして浴を賜ふ華清の池
溫泉水滑らかにして凝脂を洗ふ
侍児扶起こすに嬌として力無し
始めて是れ新たに恩沢を承くる時
「知ってるわよ。楊貴妃は唐の玄宗皇帝の寵姫だけど、王昭君は?」
「えっ、王昭君を知らないの?」
「聞いたことはあるけれど、そうそう、絵師に賄賂を贈らなかったから---」
「それそれ、前漢の元帝の頃に匈奴に嫁がされた人さ」
「本當は美人だったのに、賄賂をあげなかったから絵師が意地悪したのね」
「絵を見てこれなら惜しくない、と思った元帝だったけど」
「実物を見て悔しかったでしょうね。王昭君が可哀想!」
「西施は知ってるかい?中國で美人の代名詞と言えば一番にこの人だね」
「なんでそんなことが言えるの?」
「“情人眼里出西施”って知ってる?」
「知らない。どういう意味?」
「日本語訳があったよ、ちょっと待って、えーと、『あばたも笑窪』だって。
「どうしてそんな意味になるのかしら」
「“情人眼里出西施”、つまり、戀人の目には西施が見える、ってことさ」
「えっ、わからない」
「つまり、僕の目には君が西施のように美しく見えるってことさ。戀をすると目が曇る」
「失禮ね!じゃあ、あなたは目が曇っているの?私はあばた面ってわけ?」
「アッ、そういうわけじゃないんだ。ごめんごめん」
「あなたって本當にデリカシーがないわね!」
「そ、それに『西施の顰(ひそみ)に倣う』っていう言葉もある」
「どんな意味かしら」
「中國網日本語版(チャイナネット)」2018年8月20日