みなさん、こんにちは。中國社會科學院日本研究所の呉と申します。
日本政府は6月、2013年に制定された「國家安全保障戦略」の改定を決定しました。日本の國家安全保障會議(NSC)が新たなミサイル防衛方法、経済安全保障、ポストコロナの國際ルールという3分野について重點的に議論し、年內改定を目指します。現在の複雑な國際情勢のもと、日本のこの動きは一連の重要な影響を生む可能性があります。さまざまな動向を総合すると、今回の改定からは2つの大きな政策方針が見えてきます。まず、米國と共同でまた自前で、特に進攻?攻撃能力を発展させ安全保障?防衛分野の「正常化」「大國化」を図ることです。次に、経済安全保障分野において、政治的?戦略的な角度から海外との経済貿易及び技術関連事項を統一的に処理することです。
以上は新戦略の調整に生じうる傾向に過ぎず、その結果は各政治勢力の駆け引きによって決まります。この方針に従えば國家安全保障を確保できるかについては、日本の內部でも疑問?懸念の聲があがってます。例えば一部のメディアや學者は新戦略の方針及び平和憲法との関係、新戦略がもたらしうる複雑な地域への影響などを疑問視しています。
日本の今回の戦略調整は中日関係への影響が不可避です。安倍政権は過去數年に渡り、中日関係発展の正しいレールに沿って歩いていたと言えます。これはまた安倍首相が掲げる「日中協調」の精神、「永遠の隣人」の理念に合致しています。両國の良好な関係発展の原則及びガイドラインとしてあるのは、2019年に達成された中日の「10點の共通認識」です。地政學的リスクが拡大し大國の駆け引きが激化する近年の國際情勢の中で、両國が力を合わせ新時代の関係構築を推進することが、數少ないポジティブなハイライトになりました。この過程において、安倍首相は「戦略的自主性」と「均衡外交」を推進し、國際情勢変動の流れに正しく乗り、日本が自立のスペースと大國の地位を勝ち取るためのチャンスを増やしました。ところが新型コロナをめぐりこれほど協力が必要になっているにも関わらず、5月頃から日本の対中政策に「ゆがみ」ができ、中日関係に大きな溝と食い違いが生じています。これは両國の利益に無用な悪影響を及ぼしていると思います。
今年は歴史的な意義のある春?夏を迎えることになるだろうと思います。日本の國家戦略及び対中戦略が、どこに向かうのかという重要な岐路にさしかかっています。これはまた日本自身の安全保障や中日関係に影響を及ぼします。安倍首相は任期満了が近づいていますが、私たちは首相が日本の安全保障や中日関係に関する良好なレガシーを殘すことを願ってやみません。
以上、ご靜聴ありがとうございます。