海軍?空軍軍事研究専門家の戴旭大佐は長年中國の空軍や海軍の軍事戦略の研究にたずさわってきたが、2009年に出版された新著『海のトーテム』の中で世界各國の空母発展の道を全面的に提示し、中國の海洋の歴史と未來についても突っ込んだ解読を行っている。中國はなぜ差し迫って空母を必要としてるのか?中國はまもなくどのような空母を保有しょうとしているのか?中國の空母は海外の新たな「中國脅威論」の出現を誘発することになりはしないのか?これらについて、『インターナショナル?ヘラルド?トリビューン』紙の記者が戴旭大佐に対し特別取材を行い、これによって中國における航空母艦発展の道を全方位的に解読し、その內幕を明らかにしょうとした。
かりに原子爆弾が中華民族の尊厳を表すものであると言うならば、空母はその夢である
『インターナショナル?ヘラルド?トリビューン』紙(以下Q) 空母を中國の「海のトーテム」として描いているのは何か出典があるのか?
戴旭(以下A) 空母はもはや兵器という概念を越えて、すでにわれわれの民族の心の中に融け込んでいるものである。中國は最も先に海というものを認識した國であり、最も先に海の門を閉じた國でもあり、中國が海洋による苦しみを嘗めたことは世界のいかなる國よりもひどいものであった。今日、中國にとって海洋の意味はほとんどすでにその命のツナとなっているが、中國はそれを守る力を擁するに至っていない。空母はこのような背景の下で現代の中國人の軍事的トーテムとなっているのである。記號の意味について言えば、今日、中國が空母を保有することはかつて原子爆弾を保有することと同じで、いずれも大國として必ず保有しなければならないものである。現実の軍事的意味から言えば、空母はその本質から言えば軍艦であるが、普通の軍艦ではない。空母を保有するかどうかは伝統的な海軍と現代海軍を區別する根本的な目じるしとなっている。さまざまな現代化した兵器システムに支えられて、空母はすでに海上における多軍種、兵種の合同作戦の中心となっている。現代の技術的條件の下で、空からの攻撃と防衛の能力のない海軍はほとんど生存の能力を持たず、海上を縦橫に航行することのできる現代海軍ではなく、海岸を守る「水軍」にほかならない。
世界じゅうのほとんどすべての大國はいずれも海洋から受益し、歐米諸國、日本は言うまでもなく、ロシアまでもここ二百年らいずっと東西両側の二つの港を獲得するために戦ってきた。中國だけは例外である。1950年、「朝鮮戦爭」勃発後、アメリカの空母が中國の沿海まで航行してきた。その後、ずっと今日までアメリカの空母は一度も中國の沿海海域を離れたことはない。當時、毛沢東主席はかつて「海上鉄道」といわれる遠洋船団と航空母艦を作ることについて提案したことがあるが、當時の資金力と技術的基盤から、意欲十分あったが力不足だったため、あきらめるほかなかった。
1978年、中國はかつてイギリスから1.8萬トン級の小型空母、垂直離著陸艦載戦闘機を購入するか、またはイギリスと共同でそれをつくる計畫があったが、イギリス側のオファーが高すぎたためあきらめた。
1988年の南沙群島における海戦の後、空軍の長距離作戦の能力が不十分で、海軍を空から効果的に援護できないという問題が顕在化したため、中國における空母建造を求める聲が日ましに大きくなってきた。當時、海軍を主管していた劉華清氏はその後その回顧文の中で、「『第7次五カ年計畫』期から(空母建造の問題について)フィージビリティーを始め、『第8次五カ年計畫』期からフラットホームと艦載機のカギとなる課題に対し研究を行い、2000年に狀況を見て、規格を決めて建造を始める」と言う計畫であったことを明らかにしている。空母建造は數世代の中國人がずっと追い求め、臥薪嘗膽して目指してきた夢だと言える。