溫家寶総理は4月11日から13日にかけて、成功裏に日本を訪問した。12日午前には日本の國會で重要な演説を行い、中日両國の平和共存、世々代々の友好、互恵協力、共同発展の必要性を強調するとともに、永遠に平和発展路線を歩み、調和世界の構築に力を盡くすという中國の決意を表明した。日本の國會議員は、溫総理の誠実で、友好的で、情理にかなった演説に、たびたび熱烈な拍手で応えた。演説終了後、扇千景參院議長は「溫総理の演説は、國會の『氷』をすでに融かした」と述べた。(文:劉江永?清華大學國際問題研究所教授))
溫総理の訪日の重要な成果の1つは、戦略的互恵関係を構築する上での基本的な精神と內容について、両國が一致した認識に達したことだ。これにより、中日関係を改善するための確かな方向性が明示された。雙方が中日関係改善の具體的な行動計畫を立案したことで、人々は戦略的互恵関係の実現が、適切で実行可能な実際のステップであり、中日関係の改善が空論ではないことを目の當たりにした。
実際に、ハイレベル相互訪問の再開は、すでに両國関係の改善に目に見える成果を及ぼしている。昨年10月の安倍首相の訪中から今年4月の溫総理の訪日まで、中日関係には改善の新たな潮流が現れた。これは主に3つの面に見ることができる。第1に、ハイレベル相互訪問の再開に伴い、民間感情も好転を始めた。昨年12月に日本の內閣府が実施した調査では、現在の日中関係を「良好」と見る日本人は回答者総數の21.7%で、前年同期より2%増加した。中國に「親近感を覚える」人は34.3%で、同1.9%増加した。第2に、政治関係が溫かさを取り戻すに伴い、経済?貿易交流も熱を上げ、日本の対中輸出は目に見えて伸び率が上がった。今年1~2月の中國の対日輸入は20.7%増加した。第3に、文化?スポーツ交流年活動の実施に伴い、両國のメディアに友好的で客観的な報道が増えた。日本のNHKテレビは、北京五輪の準備狀況をさまざまな角度から報道し、中國中央電視臺(CCTV)は特別番組「巖松看日本(巖松が日本を見る)」を放送し、共に視聴者に好評を博した。日本のテレビ朝日と香港の鳳凰衛視(フェニックステレビ)は3月末、初の中日同時生放送による中日関係テレビ討論會を放送し、両國民が直接交流できる場を設けた。
中日関係の改善は人心の向かう所であり、この潮流を阻むことはできない。今後、両國間の戦略的互恵関係の構築は、得難いチャンスを迎える。安倍首相は溫総理の招請を受けて年內に訪中することを表明し、日本側は都合が良い時期の訪日を胡錦濤國家主席に正式に招請した。國際環境から見ても、両國関係改善の制約要素は減ってきている。米國を含む大多數の國は、中日の和解を期待している。経済グローバル化、地域統合、非従來型の安全保障分野での共通利益の増加などの要素は、いずれも中日両國の協力の深化にとってプラスだ。
同時にわれわれは、今回の共同文書で打ち出した諸課題を両國が真に実行に移すには、なお多くの実際の行動と、粘り強い努力が必要であることも、認識しなければならない。両國が東中國海の境界係爭海域において「係爭棚上げ、共同開発」を実現できるか否かは、戦略的互恵関係を真に構築できるか否かの、1つの試金石だ。今年は「七七事変(盧溝橋事件)」と「南京大虐殺」から70周年にあたる。侵略の歴史を美化する日本の右翼勢力はなお政府に圧力をかけ、頑強に自己を表現する可能性がある。彼らが歴史問題や臺灣問題で中國人民の感情を傷つけ、中日関係を破壊した例は、何度も目にしており、すでに珍しくもない。したがって、日本の政治的な右傾化思潮が中日関係を妨害するのを防ぐことは、なお中日両國が長く抱えることになる共通任務なのである。われわれは中日関係の一層の改善に対して「慎重な楽観」ができるのみで、まだ「十分な楽観」とはいかない。「三尺の氷は一日にして『融』けず」だが、中日関係の改善を逆行させることはできない。両國民は、殘氷が完全に融け、滔々たる春の流れが、川を東へと盡きせず流れゆくことを期待している。
「人民網日本語版」2007年4月13日