資料寫真:ロシアの長距離戦略爆撃機「ツポレフ95MS」
日本防衛省は8日、ロシアの長距離戦略爆撃機「ツポレフ95MS」2機 が長崎県対馬海峽の東側から九州西部、沖縄本島南を太平洋に抜けて、日本周辺空域を一周したと発表した。これに対して日本は強く抗議したものの、ロシア外務省の回答は「今回の哨戒飛行は他國の領空を侵犯していない。日本を含むどの國の軍隊からしても日常的な実踐に過ぎない」と、いたって平然としたものだった。
この発言には2つの意味が含まれる。1つは、戦略兵器の威力が明らかになった。つまり、戦略爆撃機にとっての訓練飛行になったばかりでなく、敵に大きなプレッシャーを與えた。これこそが戦略兵器の威力だということ。2つ目は、日本もこうした飛行が可能だが、そんな戦略兵器はないだろうというひやかしだ。
ロシアのツポレフ95爆撃機はすべて80年代から90年代にかけて生産されたMS型で、射程3000キロメートルの長距離巡航ミサイル「Kh-55」を発射できる。また、航続距離は15000キロメートル、弾薬搭載量は15トン。「ツポレフ95MS」はロシアに欠かすことのできない戦略兵器だ。07年にプーチン大統領が同爆撃機の哨戒飛行を再開して以來、北大西洋條約機構(NATO)各國の作戦航空機がロシアに対して、たびたび航空迎撃や編隊飛行を実施し、一挙一動を監視している。米國の舊式戦略爆撃機「B-52」に比べると、スピードは出ないし、ステルス性もない、ターボプロップエンジン搭載の時代遅れの航空機だが、こうした航空機でも堂々と日本を一周すれば、日本の上から下まで冷や汗が出るだろう。