文=蘭辛珍 ? 北京週報
中國の軍事費伸び率を見たら、中國の軍事脅威論をつねに喧伝する西側メディアは失望するかもしれない。李克強総理は3月5日、第12期全國人民代表大會第4回會議で行った政府活動報告で、2016年、中國の軍事費伸び率は7.6%になるという見通しを示した。これはここ6年來で最低の伸び率である。
中國の國防と軍整備は國際社會から注目されているため、毎年の軍事費伸び率に國際メディアは神経を尖らせている。昨年10月に中國共産黨第18期中央委員會第5回全體會議が開催されて以來、國際メディアに2016年の軍事費を予測する報道がしばしば見られるようになった。中には、今年の中國の軍事費伸び率は12%を上回り、昨年に比べてずっと高くなると推斷したメディアもいくつかあり、こうしたメディアは中國の軍事費を南中國海の情勢とリンクさせて報道していた。
実際には、中國の軍事費予算は國際メディアが憶測したようにはならなかった。中國は平和的発展の理念、防御的な國防建設を実行しているため、軍事費予算も平和維持を主としている。中國の軍事費予算は、経済動向に応じているという獨自のモデルを持っている。経済成長が速い時には軍事費の伸び率が高くなり、経済成長率が低下すると軍事費の伸び率も下がる。軍事費の対GDP比では、中國はわずか1.5%前後で、國連安保理常任理事國の中で最も低い。一部の國の軍隊はあれこれ策を弄して國會に予算を多めに申請したり、多くの予算をもらうために中國軍事脅威論をでっちあげたりはしている。中國の軍隊はこのようなことはしない。
こうした稅金を武力誇示のために使うようなやり方は、平和を目的とする中國の軍整備と鮮明なコントラストをなしている。では、中國の軍隊は本當にもっと多くの資金を必要としていないのか。答えはノーである。西側との差や不足を補うために、中國の軍整備はより多くの資金を必要としている。中國の軍隊と西側大國の軍隊との間には、兵器?裝備、日常訓練、軍人の待遇、生活條件などの面で差が存在している。現代化を推進するなかで、中國の軍隊には不足を改善し、差を縮小するための資金が必要だ。また、中國は今も潛在的な脅威に直面している。東中國海では、釣魚島問題により中日両國の間で不測の事態が起こる可能性があり、日本國內の右翼勢力が喚き立てているために、中國の軍隊は日本軍國主義が再度臺頭し中國を侵略するのを防止するためにいっそう警戒心を高めざるを得ない。
北東アジアでは、朝鮮核問題の圧力が強まり、朝鮮半島情勢の変化と混亂を防止しなければならない。南中國海においては、米軍艦が南中國海の島礁付近を巡航したり、中國の領海?領空を侵したりしており、南中國海の領土安全を守る能力があることを示す必要がある。このほか、中國の改革?開放にともなって、世界の多くの場所で中國の投資や貿易など経済的利益を保護する必要があり、テロ対策や海賊対策も軍事力と切り離せない。
さらに、中國では軍改革が進行中だ。軍隊要員の精鋭化方針に基づき、30萬人の人員削減が始まっており、數多くの幹部が退役する。それに応じた保障政策?措置も整えなければならず、これにも金がかかる。しかし、中國政府は軍隊の予算を増やすことなく、今年の軍事費伸び率はむしろ過去5年のどの年度よりも低かった。中國にはもっと緊急に資金を必要とすることがある。例えば、現在7000萬人いる貧困人口の早期貧困脫出、「一帯一路」(「シルクロード経済ベルト」と「21世紀海のシルクロード」)構築の加速などである。中國政府から見れば、経済社會発展の推進と國民生活レベルの向上のほうが軍事費の増加よりずっと重要なのである。
當然ながら、中國の軍事費が不透明で、「隠れた軍事費」がある可能性があると見ている人もいるかもしれない。これはまったくの誤解である。中國の軍事費は、人員の生活費、訓練維持費、裝備費の3つの部分からなっており、どの部分にも明確なデータがある。西側が中國に隠れた軍事費があると誤解しているのは、制度の違いによるものだ。米國の退役將校に対する醫療保障などは社會保障から支出されるが、中國は軍事費として計上されている。米國の核兵器は世界のどの國よりも多いが、核兵器の費用はエネルギー省に計上され、軍事費とされることはない。だが中國の場合は、人員であれ、兵器裝備であれ、または兵舎のインフラ建設であれ、軍事にかかわるすべての費用が軍事費として計上される。それにもかかわらず、対GDP比であれ、1人當たり換算額であれ、軍人1人當たり金額であれ、中國の軍事費は他の大國よりも少ない。実際、長年の中國の軍事費構成とその趨勢を分析してみれば、中國の軍事力は防御的で侵略的なものではないこと、中國は平和を重視する國であることが分かるだろう。
「中國網日本語版(チャイナネット)」2016年3月16日