米國のキャサリン?タイ通商代表は先ほどシンガポール訪問を終えた。バイデン大統領が昨年末にインド太平洋経済枠組みの構想を掲げたが、米高官はこの枠組みをめぐり再びASEAN諸國を訪問した。ASEANの同枠組み內における重要な位置が浮き彫りになった。(筆者?許利平 中國社會科學院アジア太平洋?世界戦略研究院研究員、東南アジア研究センター主任)
タイ氏は今回、シンガポール側と二國間及び多國間レベルの、デジタル経済やグリーン経済などの協力の強化の可能性について協議した。この2分野がインド太平洋経済枠組みの中心的な內容だからだ。ところがウクライナの危機の影響、世界経済の重大な試練により、安全を前提とするインド太平洋経済枠組みは米國の願いどおりにはならないだろう。
客観的に見ると、米國とシンガポールはデジタル経済とグリーン経済において、各自の比較優位を持つ。ところがこの比較優位の協力がASEAN諸國に受け入れられるかは未知數だ。ASEAN內の大多數の國が開発途上國で、一部は後発開発途上國に屬し、デジタル経済のインフラが脆弱だ。厳しいデジタル経済ルールが地域內の諸國に適しているとは限らない。グリーン経済について、過度に高い環境保護及び労働基準は必然的に、ASEAN諸國の製品のコストを引き上げ、世界的な競爭で勝利を収めることを困難にする。
同時に中國とASEANは、デジタル経済とグリーン経済をめぐり、実り多い協力を開始している。雙方はデジタルインフラ、EC、デジタル技術の研究開発などをめぐり大きく進展しており、貧困削減、環境保護、低炭素などの面でも順調に協力を進めている。徐々に南南協力の新たなモデルを形成し始めている。
ゆえに米國がインド太平洋経済枠組みによりASEANを中國包囲の突破口にしようとしても、最終的には裏目に出る可能性が高い。中國とASEANの貿易は、コロナ禍の逆境にも関わらず成長した。昨年の中國とASEANの物品貿易額は前年比28.1%増の8782億ドルにのぼった。うち中國のASEANへの輸出額は26.1%増の4836億9000萬ドル、ASEANからの輸入額は30.8%増の3945億1000萬ドル。ASEANは2年連続で中國最大の貿易パートナーとなった。東アジア地域包括的経済連攜(RCEP)の発効に伴い、雙方の協力の潛在力がさらに引き出され、より多くの需要と市場を形成する。排他を出発點とするインド太平洋経済枠組みは、地域一體化やグローバル化という大きな流れと合致せず、地域に持続的なボーナスをもたらせず、効果的に推進できない。
當然ながら、米國が自身の世界的な覇権を利用し、インド太平洋経済枠組みを打ち出すことで中國に悪影響を及ぼす可能性についても、しっかり認識する必要がある。ホワイトハウスが発表した「インド太平洋戦略」によると、インド太平洋経済枠組みは各議題を網羅する複數の部分によって作られる。署名國はそのすべての部分に加入する必要はないが、加入する部分のすべての條件に同意しなければならない。これは事実上、米國が作った「メニュー」であり、各國が「注文」することになる。価値観とルールを軸とし、中國から切り離された基幹サプライチェーン體制を構築する。
インド太平洋経済枠組みの論理によると、中國は將來的に経済安全環境の面で厳しい試練に直面する。そのため我々は戦略的な不動心を保ち、高水準の制度型開放により高品質発展を促進し、インド太平洋経済枠組みがもたらす試練に適切に対応するべきだ。
「中國網日本語版(チャイナネット)」2022年4月11日