■ 新型コロナウイルスパンデミック下のOTT大躍進(jìn)
新型コロナウイルスパンデミックによるロックダウンで、2020年中國(guó)春節(jié)の映畫市場(chǎng)は崩壊した。だが、この衝撃は、映畫上映における“革命”を引き起こした。當(dāng)初、春節(jié)に公開が予定されていたコメディ映畫『囧媽(Lost in Russia)』は、突然の新型コロナショックを受け、春節(jié)の封切りが見送られた。ところが、中國(guó)のIT企業(yè)であるバイトダンス(TikTokの親會(huì)社)がいち早く同映畫の上映権を6億3,000萬(wàn)元(約107億円)で購(gòu)入し、劇場(chǎng)公開されるはずだった2020年1月25日(舊正月の初日)に傘下のアプリで無(wú)料配信を行った。
映畫としての『囧媽』は、劇場(chǎng)での興行収益は実現(xiàn)できなかったものの、バイトダンス傘下の「今日頭條(Toutiao)」、「抖音(Douyin:TikTokの中國(guó)國(guó)內(nèi)版)」、「西瓜視頻(Xigua Video)」、「抖音火山版(DouyinHuoshan Version)」の4つのアプリで、3日間で延べ1億8千萬(wàn)人以上が視聴し、6億回以上の再生回?cái)?shù)を達(dá)成した。結(jié)果として、バイトダンスは『囧媽』により自社傘下アプリに膨大なアクセスを得られた。。
図7 急変する映畫配信モデル
映畫やドラマの映像をインターネット上のプラットフォームで配信するモデルはOTT(Over The Top)と呼ばれる。代表的なOTTプラットフォームとして、海外では「Netflix」、「Amazon Prime」、「Disney+」、「Hulu」、「HBO Max」などが挙げられる。中國(guó)では「iQIYI(愛奇蕓)」、「テンセントビデオ(騰訊視頻)」、「Youku(優(yōu)酷))などがある。
バイトダンスは、斬新な映畫上映モデルを打ち立てた。製作費(fèi)2億1,700萬(wàn)元(約36.9億円)の『囧媽』は、劇場(chǎng)公開をスキップし、OTTで直接配信された最初の大作となった。
周牧之教授は、「非常事態(tài)にあって迅速に映畫『囧媽』の上映モデルをOTTへと切り替えたのは、中國(guó)ネット企業(yè)のビジネスモデルの突破力を表している。
その後、ディズニーが2億ドル(約220億円)を投じて制作した超大作『ムーラン』も、劇場(chǎng)公開がないままOTTで直接配信されたことで、大きな話題を呼んだ?!亥喋`ラン』は、2020年9月4日からディズニーのOTTプラットフォーム「Disney+」で配信され、2019年11月にオープンしたばかりの同プラットフォームに膨大なアクセス數(shù)をもたらした。
2020年12月4日、ワーナー?ブラザースは、2021年に公開される全17作品を米國(guó)の映畫館とOTTプラットフォーム「HBO Max」で同時(shí)配信することを発表した。これは映畫ビジネスのゲームチェンジを決定付けた。
2020年4月に公開予定だった『007/ノータイム?トゥー?ダイ』も2億5,000萬(wàn)ドル(約275億円)制作費(fèi)のメガフィルムとして公開が待たれていた。新型コロナウイルス禍で劇場(chǎng)公開が幾度も延期される中、2021年5月26日、突如アマゾン?ドット?コムが、007シリーズを制作した映畫會(huì)社MGM(メトロ?ゴールドウィン?メイヤー)を90億ドル(9800億円)の巨額で買収すると発表した。アマゾンは傘下にOTTプラットフォーム「Amazon Prime」(會(huì)員數(shù)2億人以上)を持つだけに、『007/ノータイム?トゥー?ダイ』がいつどのように公開されるのか、話題を呼んでいる。
コストのかかる超大作も、OTTと劇場(chǎng)の同時(shí)公開、あるいはOTTでの直接配信という時(shí)代に突入し、映畫公開におけるOTT戦略は、興行成績(jī)を左右するだけでなく、映畫製作會(huì)社の命運(yùn)も左右する大きなファクターとなっている。
「IT産業(yè)が発達(dá)している中國(guó)でOTTと劇場(chǎng)との協(xié)働が映畫産業(yè)をさらに盛り上げていく」と周牧之教授は予測(cè)する。
図8 2020年全世界新型コロナウイルス累計(jì)感染者數(shù)