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「一帯一路」10年が映す世界の現在とこれから

人民中國  |  2023-10-09

「一帯一路」10年が映す世界の現在とこれから。

タグ:一帯一路

発信時間:2023-10-09 15:01:52 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

分斷と対立もたらす「戦略的連攜」 


   「一帯一路」の提唱から10年を考える時に、これほどのアジア?太平洋の情勢変化を目の當たりにするとは、なんとも言葉を失う。今年8月、ワシントン郊外にある米國大統領の山荘キャンプデービッドでおこなわれた米日韓首脳會談である。


   「日米同盟と米韓同盟の戦略的連攜を強化し、日米韓の安全保障協力を新たな高みへ引き上げる」と謳い上げた今回の「首脳會談」、米日韓三か國による安保體制の強化によって新たな軍事的枠組みを作り、米國をハブとした「準三國同盟」というべき「戦略的連攜」をもって中國に対峙することを明らかにした。東アジアはもちろんアジア?太平洋のみならず世界に分斷と対立、緊張を持ち込み先鋭化させるものであり、歴史を逆回しにするものだと言わざるをえない。これが米日韓の「新時代」あるいは「新たな高み」というのだから深刻である。


   しかし、「一帯一路」イニシアティブという視界に立つと、これこそ現在の世界を象徴的に物語る「事態」だとも言える。中國が提唱し地球規模で広く翼を広げる「一帯一路」イニシアティブが、すでに、次代の新たな世界秩序を生み出す胎動をけん引する「インキュベーター(揺籃器)」として脈動していることの証左と言えるからである。すなわち、「非米世界」が世界の大勢を占め、根底から揺らぐ米國中心の「舊秩序」を、同盟諸國をフルに動員してなんとしても守ろうとする米國に殘された最後の「よりどころ」(のひとつ)が、米日韓の首脳會談となって表出したということである。


   世界史的転換期にあっては、こうしたさまざまな葛藤や困難をのりこえてこそ新たな世界がひらけるということであり、そのことを、いま、私たちは経験しているのだということを、まず、知っておかなければならない。


地理的広がりから「質の高い発展」へ 


   「一帯一路」イニシアティブは、2013年9月、習近平主席がカザフスタンのナザルバエフ大學で演説した際に「シルクロード経済ベルト」建設を提唱し、10月にインドネシアの國會で「21世紀海上シルクロード」の構想を語り、引き続いてバリ島で開催されたAPEC非公式指導者會議で、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の構想を示したことにはじまる。その後、2014年12月、中國は400億ドルを拠出して「一帯一路」プロジェクトに資金提供する「シルクロード基金」を創設。2015年3月には國家発展改革委員會、商務部、外交部が「シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロードを推進し共に構築する構想と行動」を公表し、「一帯一路」イニシアティブを推進する態勢を整えた。


   以來10年、ユーラシア大陸から東南アジア、アフリカ、中南米、カリブ諸國、太平洋島嶼諸國そして世界の海へと、地球儀をぐるりと包み込む多ルートに地理的空間を広げ「一帯一路」イニシアティブは進化してきた。


   今年6月、天津で開催された2023年夏季ダボス會議の「一帯一路イニシアティブの未來」対話會において、「一帯一路」共同建設は、すでに世界の4分の3を超える國と主要國際機関を集めていることが報告された。また、第14期全國人民代表大會第1回會議で採択、承認された「22年度経済社會発展計畫の執行狀況と23年度計畫案」によると、2020年末時點で、150カ國と32の國際組織と200あまりの「一帯一路」共同建設協力文書に調印したことが記されている。その後の時間的経過を考えれば、この數はさらに増えていることは想像に難くない。


   また、中國と歐州を結ぶ國際貨物列車「中歐班列」の運行では、累計6萬5000本以上が運行され、標準コンテナ600萬個を超える貨物が歐州25か國の200あまりの都市に屆けられたことが報告されている。ちなみに、今年7月末、今年の「中歐班列」運行本數が1萬本に達したことが中國メディアで伝えられた?!钢袣W班列」を通じて、中國と「一帯一路」沿線國の経済?貿易関係が日増しに発展していることが伝わってくる。 


グローバル?ガバナンス改革をリード 


   こうした成果の上に「23年度計畫案」では、「一帯一路」共同建設提案10周年に際し、「一帯一路」共同建設の「質の高い発展」を推し進めるとして、今後取り組む目標、プロジェクトについて詳細に述べている?!纲|の高い」という表現が指し示すものは実に多岐、多領域にわたるが、「デジタルシルクロード」の推進が位置づけられたことと、「グローバル?ガバナンス體系の改革」が重要な位置づけを持つことになったことは忘れてはならない。


   2017年10月に開催された第19回中國共産黨全國大會における政治報告で習近平総書記は、中國がグローバル?ガバナンス體系の改革に積極的に関與することで國際秩序の変革をリードすることを提起し、「共に話し合い、共に建設し、共に分かち合う」というグローバル?ガバナンス観に立って、開発途上國の代表性と発言権を拡大することで、グローバル?ガバナンス體系をより公正で合理的な方向へ発展させることをめざすことを語った。すなわち、中國が世界秩序の変革をリードしていくことを世界に向けて明確にしたのである。さらに、「一帯一路」建設において対外開放をさらに進め、國際協力を積極的に促進して、政策面の疎通、インフラの相互接続、貿易の円滑化、資金の融通、民心の通い合いの実現に努め、「新たな國際協力プラットフォーム」を構築して共同発展の新たな原動力とすることを鮮明にした。


   このように、「一帯一路」イニシアティブは日々進化し、動いている。ゆえに、動態的にとらえなければその実像を理解、認識することはできず、さらに、「質の高い」と語られることの意味を深めることがなければ、「一帯一路」の現実、実體は見えてこない?!纲|の高い」という言説が意味するところをどこまで深くとらえることができるかが、「一帯一路」イニシアティブと中國のこれからを見ていく重要なカギとなるのである。


次の10年、「人類運命共同體」へ 


   過去10年の経験から學びとらなければならないことは、「一帯一路」イニシアティブは「人類運命共同體」の実現に向けての重要な礎となる関係にあるということである。少し長くなるが、その今日性を示す習近平主席の言説を引いておく。


   「人類運命共同體とは、文字通り、すべての民族、すべての國の前途と運命が緊密につながり、力を合わせて困難に打ち勝ち、喜びも悲しみも分かち合い、我々が生まれ育ったこの星を 皆が仲良く暮らす大家庭となるようにし、世界各國の人々の素晴らしい生活への憧れが現実のものになるように努めることである。


   ――われわれは恐怖と無縁の、普遍的に安全な世界を築くことに力を入れなければならない。 人類文明の発展の歩みを見渡すと 幾千年來、人類はずっと恒久の平和を待ち望んできたが、戦爭が遠ざかることはなく、人類はずっと戦火の脅威に直面している。人類は同じ地球に生存しており、一國の安全は他國の安全を犠牲にして築かれてはならず、他國が直面している脅威が自國の試練になる可能性もある。日増しに複雑化、総合化して行く安全保障上の脅威に直面して、一國だけ単獨で闘ってはだめで、武力を盲信してはなおさらいけない。われわれは共同?包括?協力?持続可能を旨とする新安全保障観を堅持し、公平?正義?共同建設?共同享受の安全保障の枠組みを構築し、戦爭を誘発する根源を共に取り除き、銃砲によって追い払われた民衆を共に救い出し、戦禍に巻き込まれた女性や子どもを共に保護し、大地を平和の光で広く照らさせ、一人一人に平和で穏やかな暮らしを享受させなければならない」(「習近平國政運営を語る」第三巻第17章「手を攜えて人類運命共同體を構築する」)


   われわれが現在の世界といかに向き合うべきなのか、その時代性、今日性がここに盡くされている。


新たな世界像めざす世界と向き合う 


   メディアにおいてしばしば「新冷戦」という言葉が登場するようになっているが、中國は一貫して「新冷戦」ということばを「拒み」続けている?!附U済安全保障」を掲げ中國に対する制裁、封じ込めを強めるばかりの米國およびそれにつき従う日本などの國々の施策に分け入れば、実質的には、かつての米ソ冷戦時代の「規制」と同等もしくはそれ以上という厳しい狀況も生まれている。また、臺灣をめぐる米?日の立ち居振る舞いに鑑みれば、まさに「冷戦」狀況を彷彿とさせるばかりと言える現狀である。しかし、中國は、かつてのような世界を二分した分斷と対立の構図を再現することは斷固として拒み、世界の人々と手を攜え、平和と共助、協力のなかで新たな世界像を開いていく道を選択している?!敢粠∫宦贰工啷氅`ト、多ジャンル?領域で世界に翼を広げているがゆえにできることだと言えるだろう。すなわち、世界の大きな流れは、新たな世界秩序を求めて動いているという確信にもとづいて、中國は「新冷戦」というとらえ方には與しないと理解すれば、世界の現在がくっきりと見えてくるのである。


   「一帯一路」提唱から10年を振り返る営みは、われわれに、世界と向き合う深い思考を求めてくる。それは、世界史的な転換期を生きるわれわれにとって、「一帯一路」イニシアティブへの理解と認識を深めることにとどまらず、「一帯一路」に參畫することで「共に考え、共に努力し、共に歩む」ことが何よりも重要な営みとなることを教えるものでもある。


   古の時代、はるかギリシャ、ローマ、アラブ世界からシルクロード、中國を経て文物、文化が渡來し、交流を深めた豊かな精華が収納されている正倉院御物を挙げるまでもなく、日本は、「一帯一路」の終著地であり、始発の地であった。にもかかわらず、いまだ「一帯一路」への參畫に至っていない。このことを今こそ思い起こし、世界とそして中國と向き合う感性、見識を深くする時にあるということを、しっかり肝に銘じる必要がある。日本が、ひたすら米國と共に中國との対決、中國封じ込めの道を歩む愚かさを痛感するとともに、この狀況を根底から変えていく覚悟が必要になると切に思う。


   さて、問題は、日本のわれわれがどう歩むのかである。


人民中國インターネット版より


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