中日合作ドラマ『蒼穹の昴』が間もなく北京テレビで放送されるのにあたり、7日、西太后を演じた田中裕子さんが北京で記者會見に臨んだ。田中さんは和服姿でマスコミの前に登場。その優雅なふるまい、やさしい微笑みはたちまち、善良で親しみやすい「おしん」を思い起こさせた。こんなにもやわらかい雰囲気をもつ田中さんが、橫暴を極めた西太后を演じることなどできたのだろうか?この質問に対し田中さんは、「テーブルを叩いて目を開くと、私はとても兇悪になるのよ」と冗談交じりに答えた。
西太后役は忘れられない
20年以上前に日本のテレビドラマ『おしん』が中國で大ヒットしたことから、田中裕子さんは中國でも知名度が高い。ただし田中さん本人は、「『おしん』と『西太后』だったら、私は『西太后』の役のほうが好きですね」という。「20年以上前に『おしん』を演じたときは、私は28歳で、役者としてはまだ若かった。あのドラマを撮った8カ月の間、ずいぶん苦労しました。正直に言いますと、當時、私はまだ演じることの楽しみが分からなかったのです。ですから、『おしん』は辛かったという思い出しか殘っていません。もちろん、『おしん』がアジアに大きな影響を與えたことは知っていますが、私にとっては演じたことのある役のひとつという位置づけで、特別な思いはありません。しかし今回の西太后の役は違います。この役を演じるにあたって、私は中國にやって來て、たくさんの中國の人たちといっしょにこのドラマを撮りました。これは私にとって、非常に特別な経験でした。私の役者人生の中で、忘れられない役のひとつです」
西太后という役の理解については、「彼女は、當時の中國の運命を決定することができた皇太后であり、もちろん、歴史的には罪を犯した人ですが、私はそれを表現したくはありませんでした。彼女はまずは女性であり、子供を持つ母親だと思うのです。これまでに中國の役者さんたちがさまざまな西太后を演じてこられましたが、彼女たちからは、この女性として、母親としての角度からの西太后の解釈が抜け落ちていたように思います」と語る。では、自分の演じた西太后について批判されることは心配ではないか、という質問に対して、「いいえ、私の演じた西太后について議論が生まれてほしいと思います。良い蕓術作品というのは、議論の的になるものです。誰もがすばらしいというものは、かえって問題があるのです」と答えた。
「チャイナネット」 2010年3月12日