対外関係で投じる大きな一石
中國が2014年に7.5%成長を遂げると、経済規模で米國以外は未知なる領域であった10兆ドル臺に突入します。対外関係では、2013年には貿易額で世界第1位(4兆ドル、世界120余國?地區にとって最大の貿易相手國)になっています。また、対中直接投資額は世界第2位です。中國の世界経済の成長に対する貢獻率はすでに30%(2013年)に達していることなどから、中國経済の行方に世界の関心は高まるばかりです。
中國の対外関係について、『報告』では、“輸出入貿易総額を7.5%左右とする。中國(上海)自由貿易試験區(上海自貿區)の建設管理をうまく行う。高水準の自貿區(FTA)建設に積極參與する。中米?中歐投資協定交渉を推進し、韓國、オーストラリア、海灣合作委員會などとのFTA交渉を速める”としています。2014年の対中貿易?投資では、上海自貿區の行方が最大の注目點の一つとなるでしょう。
2001年12月、中國は念願のWTOに加盟、その後、世界におけるプレゼンスを高めてきました。現在,中國にとって,當時のWTOに相當するものは,世界各地に存在するFTAということになるでしょう。目下中國は、アジア?太平洋、とりわけASEANとのFTA構築で大きな成果を収めています。『報告』から,今,中國は中韓FTA,日豪FTA協定を締結し,TPP(米國主導)とTTIP(米-EU間)との連攜の道を探ろうとしている姿勢にあることが読み取れます。
目下交渉中のTPPとTTIP(いずれも中國不在)が成立し中國包囲網が構築されれば、中國経済の発展、ひいては、『改革深化』に大きな影響が出るとする中國の識者は少なくありません。この點、韓國はアジアで唯一米國とEUとFTAを締結しています。オ-ストラリアはTPP加盟交渉國です。韓國、オーストラリアとのFTA締結は、TPPとTTIPの接點になります。また、米國、歐州(主にEU)との投資協定は、主に中國企業の対外進出に大きな意義があります。仮に、TPP、TTIPが成立しても、投資協定があれば、両地間の投資活動が積極化し、TPPとTTIPの中國へのマイナス影響を少なくすることが可能となります。海灣合作委員會(1981年成立。バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長國連邦の中東6か國で構成)とのFTAは、目下中國が積極推進しようとしている新シルクロード経済帯建設の推進と大いに関係があるのではないでしょうか。新シルクロード経済帯は、FTA真空地帯である中國から歐州に至る中央アジアに、將來、TPPやTTIPにも相當する大FTAを誕生させる可能性を秘めています。海灣合作委員會とのFTAはその重要な部分として期待できるということになります。“すべての道はローマに通じる”という格言がありました。このローマを今の中國に求めるとしたら上海自貿區を有する上海ということになるでしょう。対外開放度の極めて高く、運営面で大膽な対外開放措置が採られている上海自貿區は、30余年前、改革開放の先陣を切った『経済特區』が、中國のWTO加盟に道筋をつけ、中國経済の國際化と世界経済の発展に貢獻したように、世界でのFTA構築の動きに大きな一石を投じることになると期待できます。上海自貿區発の昔のシルクロードの夢をもう一度ということです。
?中國網日本語版(チャイナネット)? 2014年3月20日