大阪にある戦爭博物館「大阪國際平和センター」(ピースおおさか)は、日本における重要な反戦平和教育研究基地として、毎年7萬5千人の來館者を迎えてきた。そのうち90%は小中高生が占めている。去年9月1日にリニューアルのため一次閉鎖となったが、今年4月30日に再びオープンした。しかし再開後の博物館には、日本軍の侵略史についての展示がなくなってしまったとの指摘がなされ、物議をかもしている。「環球時報」記者が取材した。
注目されているのは「展示室B」である。複數のメディア報道によると、この展示室には以前、「九一八事変」(満州事変)から第二次大戦終結までの「15年戦爭」をテーマに、南京大虐殺や抗日戦爭、労働者強制連行などの內容が展示されていたという。だが今は、壁にはられた年表以外、こうした內容にかかわるものはない。
小さな文字で書かれた年表に近付いてよく見ると、日本の中國侵略についての情報はいくつか見つかった。1931年満州事変。1932年「満州國」建國。1935年「満州國」皇帝來阪。1937年盧溝橋事件?日中戦爭?南京事件。1938年重慶空襲。記載は一行だけで、説明もない。よく見てみると、日本軍が盧溝橋を「進軍」中の寫真があっただけだ。
年表以外に展示されているのは、大阪空襲で被害を受けた市民の苦しみ、召集令狀を受けた大阪の成人男子の犠牲、大阪の女性までもが戦爭に備えるために武器を使う練習をしたこと、大阪の人々が救國のために寄付を行ったことなどが紹介されている。展示室の主題は「大阪空襲」だった。
3階には、戦後の大阪の「逆襲」が紹介されていた。戦後初期に困難に直面した大阪が、各分野で成果を遂げることになった道のりが示されている。館內にはさらに、平和を訴える小中學生の絵も展示されていた。
中國侵略にかかわる展示品はいったいどこに行ってしまったのか。博物館の職員に聞くと、1991年の設立以來2014年までリニューアルをしてこなかった大阪國際平和センターが去年、大阪市の1700萬円の支援を受けてリニューアルされることになり、コンセプトもリニューアルしてテーマが「大阪空襲」に変えられたのだという。リニューアル後、日本軍の中國侵略についての展示がなくなったのは、「寫真やポスターが古くなった」から捨てたためだという。だがこうした歴史を、現在の日本の小中學生も學ぶべきではないのか。職員に問うと、そうした內容は難しく、子どもには理解しきれないので、年表で觸れるにとどめたのだという。國內外のメディアはこのリニューアルに「Very good!」と反応しているとのことだった。
同センターのこうしたやり方は、平和の呼びかけという主旨に沿ったものと言えるのか。むしろ歴史を糊塗し、証拠を隠滅する行為とは言えないのか。共同通信の3日の報道によると、5人の教員と元教員がこれに対し、「『ピースおおさか』見方?歩き方ガイドブック」という冊子を作成し、日本軍の加害と侵略を紹介する展示を同センターがなくしたことを批判している。作者の一人の冨井恭二氏は、「新たな展示では、軍國主義や皇民化教育を肯定し、子どもたちに間違った認識を與える恐れがある」と指摘している。
「中國網日本語版(チャイナネット)」 2015年8月20日