貧困の固定化と社會の喪失感
筆者はこれまで、日本では中産階級が社會の中心を占め、歐米の主要工業國と比べれば貧富の差もそれほど大きくはなく、社會矛盾もそれほど先鋭化していないと考えてきた。だがバブル経済の1993年の崩壊後、「一億総中流」の時代は完全に過去のものとなった。経済の低迷は貧困をもたらし、貧困の固定化がとりわけ大きな問題となりつつある。
年収450萬円を日本家庭の平均収入とすれば、その半額以下の年収200萬円はかなり貧しい方に入ると考えられるだろう。日本國稅庁の調査によると、2013年以降、年収200萬円以下の労働者數は1100萬人以上という高い水準を保ち続けている。安倍晉三首相は2012年12月に就任すると、「アベノミクス」を積極的に打ち出し、失業狀況は大きく改善し、経済には回復の兆しが現れたかに見えた。だが労働者の収入から見れば、貧困の固定化が進んでいることがわかる。
日本のような工業先進國では普通、國民が食べるに困るということはない。だが日本厚生労働省の調査によると、日本の子供の貧困率が16.3%にのぼる(2014年)。つまり6人に1人の子供がお腹を空かせている。このような子供は大きくなっても、大學に入って學ぶことは難しく、安定した正規の職に就くことも難しい。貧困は多くの日本の子供のもとで、すでに固定化されつつある。
東京や銀座では今もにぎやかな様子が見られる。だが日本の経済規模は20年余りにわたって足踏みを続けている。富める者の財産は減らない一方、街の繁栄の影で、多くの人が犠牲となっている。経済の失われた20年の後、日本の政治などでの世襲現象はますます広がっている。このような社會において、富める者が固定化されているだけでなく、貧困もまた固定化されつつある。
「中國網日本語版(チャイナネット)」 2017年4月28日