物欲の強い社會の中で、『世界の中心で、愛をさけぶ』を通して、読者たちに伝えたいことについて、片山さんはこう述べている。「日本は資本主義の経済が浸透する社會で、アメリカ的な価値観の影響を受けている。実用性、有用性、役に立てることが価値だという社會であり、お金や社會的な地位、仕事の能力で価値が計られるのかという疑問がある。それに対し、戀愛とはまた別の世界で、私はこの社會的な価値観と別の価値というものを描こうとした」。
また、純粋な愛を追い求めることについて、片山さんは「戀人関係になるにはいろいろな要素があり、たとえば容姿や社會的なステータスなどが伴うが、親密な関係になるほど、相手の社會的な地位、お金持ちであるかどうかなどはどんどん意味がなくなっていくと思う。戀人になって、家族を作って、10年も20年も一緒に生活して、年をとれば、容姿は重要なことではなくなる。これらは夫婦の関係に大きな意味を持たないもので、人が誰かと過ごすにはいやおうなしに純愛的なものを目指すことになる」と語った。