文=中國社會科學院日本研究所副所長 楊伯江
現在大きな時代背景の下で、世界は平和を追求し、各國は発展を求め、協力によってウインウインを実現しようとしている。中日間の相互依頼関係もその通りだ。
2014年は第1次世界大戦勃発100周年だったが、日本の安倍晉三首相はこの年の1月にダボス會議に出席した際、14年の東アジア情勢と第1次世界大戦前の歐州の比較を行い、當時歐州國家の間では貿易量が非常に大きかったがやはり戦爭が勃発したと述べた。中國と第1次世界大戦前に國際秩序に挑戦したドイツを類比し、これをもって「中國脅威論」を大げさに言いたてたのだ。私はこうした歴史経験の単純な援用は機械的に過ぎると考える。簡単に言えば、もし現在國家間、とりわけ隣接する大國間で相互依存が失われたら、結果はもはや第1次世界大戦の歐州に與えたようなレベルの打撃どころではない。それがもたらす當事國に対しての系統的破壊は、いずれの一方にとっても耐え難いものだ。なぜなら、國家間の相互依存はすでにかけがえのないレベルになっているからだ。
われわれは、中日経済協力は現在すでに深く國際分業システムの中に組み込まれており、「相互依存、協力?ウインウイン、和すれば共に立ち爭えば共に傷つく(8)」が中日関係において新たな時代の條件下での戦略的基礎をなしていることを冷靜に認識すべきだ。1980年代に、中日貿易は中國対外貿易の中に占める比重が最も大きく、27%に達し、ほとんど「天下三分」の一つを占めていたが、現在は7~8%程度に下落していることを問題視する人もいる。しかし、中日貿易総額が上昇しているのに比率が低下する狀況は、中國にとって日本の戦略的重要性が低下したことを意味するのだろうか? 答えは明らかにノーである。
われわれは少なくとも二つの方向からこの問題を論証することができる。第一に、経済のつながりは依然として、中日が相互に戦略的影響を保つ、特に中國が日本に対して戦略的影響を保つ主要な手段の一つである。第二に、中國にとって日本の戦略的重要性はプラス面の「建設的」価値の上に出現するだけでなく、マイナス面の「破壊的」価値の上にも出現している。近年來、日本の一部政治勢力や人物が中國と周辺の戦略的安全保障環境、東アジア地域の安定にもたらしているマイナス面の影響は軽視できない。
現在、中日関係には一種の歴史周期的な作用の下で「新常態」が出現している。基本的な特徴は両面性が際立つことで、一面では雙方の経済レベルの相互依存度が深まり、もう一面では二者の競爭と摩擦も激化し広がっている。中日の二國間関係について言えば、これはそれぞれの発展戦略と地政學的戦略(9)が衝突する問題だ。
勃興の重要な時期にある中國にとって、國際関係処理の上で、正しい方法で正しい役割を果たし、あるいは適切な方法で、特に巧妙な方法で自身のポジションにふさわしい役割を果たすことは、中國の基本戦略だ。また、中國が安定的に成長、漸進的に勃興できた鍵だった。これにより、われわれは現在の中國が中日関係を処理する上でより積極的、自発的に、奮い立って向上に努力する一方で、ゆとりを殘し、爭っても破局しないのを見て取ることができる。習近平國家主席が2007年以來、中日関係についての29度の談話の中でいずれも中日協力の重要性を強調しているのは、この點を示すものだ。
日本側から見ると、日本は大國化戦略を通じて國家の正常化を実現しようとしており、これは戦後日本の経済?社會発展のすう勢であり、中國の勃興とは無関係だ。しかし、日本の戦後における改造の過程で多くの潛在的問題が殘されたため、それがこの過程で各種複雑な矛盾を生み出しており、中國の勃興はただ、一部の勢力によって軍事力強化の言い訳に使われたのだ。 いずれにせよ、中日雙方は新時代の下で両國の相互依存の戦略的基礎を深く認識し、そこから中日の協力?ウインウインの局面を作り出し、推し進めていかなければならない。
「人民中國」より 2016年9月23日