日銀の植田和男総裁は18日、金利について言及した際に、日銀は「データに基づき7月に利上げに踏み切る可能性がある」と表明した。これは物価上昇の動向への注視と、政策の適時調整の準備を示した。植田氏は、物価高が堅固な基礎の上で目標への前進を加速した場合のみ、短期金利の引き上げを検討すると繰り返した。持続的な円安を背景に物価高が進む中、日銀によるさらなる利上げの圧力が拡大しているとの分析もある。
植田氏は14日、日銀は円安の影響を注視しており、最近の円安は物価高を加速させる可能性があると述べた。
現在の物価高は為替変動の影響をより受けやすい。日銀は円安に適度に反応し、物価高が2%の目標に近づく動きが加速すれば利上げに踏み切るという。
コスト要因の影響がすでに弱まっており、日本の物価高も落ち著いているが、長期的にデフレに陥っている國にとっては依然として高水準の物価だ。これはコスト増に対応するため値上げに踏み切る日本企業が増えていることが一つの原因だ。
植田氏は、次の段階のコストプッシュ圧力による物価高が始まっている可能性があると述べた。
円安は日本企業が海外で得た利益の価値を高めたが、資源が不足する日本のエネルギー、原材料、その他の用品の輸入コストを拡大した。変動幅が大きい生鮮食品を除く日本の4月のコアCPIは前年同月比で2.2%上昇し、25カ月連続で日銀の2%の目標以上で推移している。
日銀が12日に発表した初歩的な統計結果によると、円安や國際市場での銅価格の高騰などの影響を受け、日本企業の物価が上がり続けている。企業物価指數の前年同月比と前月比の増加率は5月までに4カ月連続で上がっている。
日銀の14日の決定により、金融政策正常化にまた一歩近づいた。急激な円安が物価上昇を加速させる可能性があるため、市場は日銀が再び利上げに踏み切ると予想している。
大和証券の末廣徹チーフエコノミストは、「日銀は円安で市場から利上げの圧力を受けるが、これを見守る立場を保つ可能性もある。円安は続く見込みで、ドル円相場はしばらく1ドル=155-160円の間で変動するだろう」と述べた。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎エコノミストは、「日銀は適切なバランスを見つけようと努力しているようだ。日銀は金融政策の正常化が必要であることを理解しており、さらなる円安を防ごうとしているが、経済にダメージをもたらしたくもない。14日に具體的な國債買い入れ減額の発表を控えたのは時間稼ぎのためだ」と述べた。
市場では、日本経済は今年第1四半期にマイナス成長に陥った後、第2四半期に反転上昇を迎えると予想されている。ところが賃上げは物価上昇の幅を上回らず、ドル円相場の急落の物価高への悪影響が注目されている。日用品価格の上昇が消費に衝撃を及ぼしている。
植田氏は4月の金融政策決定會合後、円安の経済への直接的な影響を過小評価した。ドル円相場はその後、34年ぶりの円安となる1ドル=160円まで下がった。
現在もドルに対する円安が続いているが、日米の大きな金利差という主因が今も殘されている。米FRBは先週、金利を據え置き、日銀を遙かに上回る金利を維持した。FRBは現在は利下げを考慮すべき時ではなく、年內1回の利下げを想定していることを示唆した。それまで予想されていた3回から大幅に減った。
小林氏は、「現在は利上げにより円安の流れを覆すことが困難だ。これはFRBがいつ利下げに踏み切るかにかかっている」と述べた。
「中國網日本語版(チャイナネット)」2024年6月19日