広東省の仏山市は紡織、陶磁器、エレクトロニクス、家電を主體にした繁華な現代的な都市だ。その一角に古い巷(こう?橫丁)が、林立する高層ビルに挾まれるかのように存在している。昔日の姿を今に殘す巷だ。 古巷の1つ、東華里。舊市街地の中心部にある橫丁で、全長153メートル。両端に門樓があるが、狹い通りなので目につきにくい。門樓に「東華里」の3文字が書かれ、その上に「道光年」(1843年)と刻されているので、すでに150年を超す歴史のあることが分かる。 東華里はもともと楊と伍という姓の富豪が住んでいたので、楊伍街と呼ばれていた。巷には今でもまだ、二つの姓の祠堂や文庫などの建築物が殘っている。その後、両家は徐々に沒落していき、住宅は総督に就任した官吏の住まいとなり、大規模な改修が行われて住宅は一層整然としたものとなった。その後も修築を重ね、東華里は仏山市で有名な通りとなっていく。 小さな門樓をくぐって、二メートル余りの幅の花崗巖が敷かれた石畳を深く入って行くと、巷の前段には鋭く斜めになったカタツムリの耳を思わせる屋根の古い家が軒を連ねていた。外観の保存狀態は完ぺきだ。後段は多くが三つの部屋と二つの回廊のある家屋で、通りから垂直に折れた橫道の両側に並んでいる。東華里の両脇には石の敷かれた橫道が四本あって、その両側に並ぶ家屋の壁は水で磨いた黒石を使って築かれている。造りは非常に規則的で、百年余り前の仏山の典型的な住宅だ。 どの家にも木製の折れ戸があって、そこを通ると庭でお年寄りが碁を打ったり、花を植えたり、マージャンをしたりしている。部屋の飾りつけも目にとまった。客間には古い家具や屏風などが並ぶ。大切に殘してきたのだろう、どこにも傷は見られず、質樸で典雅な雰囲気が漂っていた。 |