1.日本人と中國人の人間関係の違い
?
チョウ?セイさんの指摘には、日本と中國の人間関係の違いについて、重要な點が含まれていると思います。その指摘に觸発されて、私の推測と仮説をここから述べます。敢えて図式的に言いますと、チョウ?セイさんにとって、人間関係は、「①親しい友人?知人」か「②全く知らない、あいさつもしない他人」かのどちらかしか無いのかな、という感じを受けました(図1)。しかし、日本ではその中間に「③親しい友人?知人ではないけれど、あいさつを交わす他人」というグループ、カテゴリーが存在するのだと思います(図2)。チョウ?セイさんにとっては、この③の人たちとの付き合いに居心地が悪い気持ち、違和感を感じられたのではないかと思います。(ここでは家族、親族については論じません。これはまた大きな問題なので、機會を改めて、日中の家族、親族関係の相違について論じたいと思います。)
(図1) 中國人の人間関係
おそらく、中國においては、①と②が隔絶され、その境界がはっきりしているのに対して、日本では①、③、②が連続的につながっていて、その間の敷居が低いという感じがします。(違いが分かりやすくなるように、あくまでも単純化し、図式的に述べました。例外もあると思いますし、ご異論も多いと思いますが、比較すれば相対的にそのような違いがあるのではないかという問題意識を述べる趣旨です。)
?
私も中國で仕事をしていた時には、よく中國人から、「二回會えば、もう友人(「朋友(パンヨウ)だ」とよく言われました。その時は、あまり注意していなかったのですが、日本に帰國してからよく考えてみると、中國人にとっては、「何度も會っているのに、友達ではない付き合い方というのは居心地が悪い」「何度も會っていれば、友達付き合いするようになるべきだ」という考え方があるのかな、と思います。しかし、日本では、何度も會って、何年も付き合っているけれども、友達ではない人(③のカテゴリー)というのは沢山います。(話が少し飛躍するかもしれませんが、中國においては、國際関係でも、諸外國の「友好人士」との交流が非常に重視されていると思います。中國では、外國人について、「彼(彼女)は友好人士だ」「友好人士ではない」とどちらかに決めて言うことがよくあると思います。しかし実際には、そう単純に分けることは必ずしもできない場合もあるのかな、と感じる場合もあります。この點も、中國人の人間関係のあり方と関係があるのかもしれないという問題意識を持っています。)
(図2) 日本人の人間関係
関連して、中國人には、②の他人(「沒関係(メイグァンシ)」な人)に対しては、助け合おうという感覚が大きく欠落しているとの観察を述べる日本の中國専門家もいます(園田茂人氏著「中國人の心理と行動」NHKブックス)。これに対して、日本では、②の他人に対しても、①の友人と同じように助け合わないといけないという考え方があります。
?
(日中間で、もしこのような違いがあるとすれば、その違いがでてきた背景は、中國人が生きている社會環境と、日本人が生きている社會環境が異なるからだと思います。日本はやはり島國で、中國に比べれば人々の間で同質性が高く、また安全な環境だったと言えると思います。これに対して中國は厳しい社會環境で、人々は本當に多様ですし、友人で助け合って生きていく必要があったからだと思います。以上はあくまでも仮説ですが。)
?