中國の方には聞き慣れない言葉かもしれませんが、「魚付林」という古くからの日本の考え方があります。これは、岸辺の森から川を通じて流れ出す栄養(yǎng)分が、沿岸に藻場(chǎng)を作り、魚を育むことを指す言葉です。日本は昔から魚をたくさん食べてきました。そのため、漁業(yè)が昔から盛んです。日本の漁民達(dá)は、岸辺の森と川を大切にすることにより、沿岸の漁場(chǎng)を守ってきました。このように、日本人は、森、川、海のつながりを古くから意識(shí)し、これらの生態(tài)系を一體としてとらえ、大切にする発想をもってきました。このような発想と習(xí)慣は、日本獨(dú)特のものかもしれません。中國の皆さんは、おそらく、陸と海とは異なる世界であり、分?jǐn)啶丹欷皮い毪猡韦趣筏评斫猡丹欷皮い毪人激い蓼埂¥筏贰⒆罱现袊摔鉀g山海の魚を食べるようになってきたこともあり、陸と海をつなぐ生態(tài)系の問題にも大きな関心をお持ちだろうと思います。
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私は、3月8日、札幌で開催されたオホーツク海の生態(tài)系保全に関する國際シンポジウムに參加する機(jī)會(huì)がありました。このシンポジウムにおいて、この「魚付林」の考え方に基づく國際協(xié)力を発展させていく必要があるという研究者の指摘を聞き、大変興味深い內(nèi)容なので、このブログでご紹介したいと思います。
(本稿執(zhí)筆にあたり、総合地球環(huán)境學(xué)研究所の白巖孝行氏、北海道大學(xué)低溫科學(xué)研究所、他の研究者の発表を利用させていただきました。厚く御禮申し上げます。)
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1.アムール川(中國では黒竜江と呼ばれる)からオホーツク海に流れ出る鉄分が、太平洋全體の植物プランクトンを育んでいる可能性
白巖孝行氏他が、2005年から4年間かけて行っている研究(中國(注)、ロシアの研究機(jī)関も參加)では、水に溶けた鉄分(溶存鉄)がアムール川からオホーツク海に流れこみ、それが更に太平洋全體に広がって、植物プランクトン(それは動(dòng)物プランクトンを養(yǎng)い、魚その他の海の動(dòng)物を養(yǎng)っています)をどう育んでいるか、また流域における人為的な土地改変が陸面からの溶存鉄流出にどう影響するかを総合的に解析するというものです。この研究を通じて、変化の背景を探り、陸と海の間での人や生物の健全な関係の構(gòu)築を目指しているということです。(鉄分は、植物プランクトンの光合成の課程で必要な物質(zhì)です。鉄は水に溶けにくいのですが、陸地の森林や濕地で形成される腐食物質(zhì)と鉄分が結(jié)びついて、それが川に流れこみ、海の植物プランクトンに利用されていると想定されているそうです。)
(注)中國からは、中國科學(xué)院(東北地理農(nóng)業(yè)生態(tài)學(xué)研究所、瀋陽応用生態(tài)學(xué)研究所)、東北林業(yè)大學(xué)、南開大學(xué)、安徽農(nóng)業(yè)大學(xué)などの研究機(jī)関、大學(xué)が參加しているそうです。
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白巖氏は、これを「巨大魚付林」と名づけています。そして、アムール川流域が、オホーツク海や北部北太平洋親潮域の巨大な「魚付林」になっている可能性に著目されています。
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アムール川は中國にとりロシアとの國境となっていますし、中國で重要なアムール川の支流としては松花江などもあります。中國の東北地方、內(nèi)蒙古自治區(qū)の広い範(fàn)囲が、アムール川の流域となっています。(中國はオホーツク海に面していないので、一般の中國の人は、これらの川から流れたものが、オホーツク海でどうなっているのかはあまり念頭に無いだろうと思います。)
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白巖氏の研究によれば、アムール川には豊富な鉄分が溶け込んでおり、毎年10萬トンもの鉄分がオホーツク海に注ぎ込んでいるそうです。その鉄分は、オホーツク海で冷たい水として、海面深く潛り込み、太平洋全體に広がっているそうです。この鉄分(そして酸素分も)を豊富に含む水の中で、植物性プランクトンが養(yǎng)われ、それを動(dòng)物性プランクトンが食べ、その動(dòng)物性プランクトンを魚類が食べ、その魚類を鳥類やほ乳類が食べるという生態(tài)系が存在しているということです。もしこの鉄分の供給が減ったり、あるいは地球溫暖化のために冷たい水の流れが滯れば、この生態(tài)系に甚大な影響を與えることになります。実際、中國における土壌利用の変化(濕原の減少など)により、アムール川支流における鉄分の含有量は減少しているそうです。
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2.私たちにとっての意味
上記の通り、アムール川に流れ出る溶存鉄の多くが、アムール川流域の濕原で生成されることということです。しかし中國の三江平原においても、濕地面積は1980年の19,450平方kmから、2000年には9,069平方kmと半減しているそうです。濕地面積の減少は、鉄分供給の減少を意味し、もし太平洋への鉄分供給が減少すれば、それは生態(tài)系にも大きな影響を與えかねないということです。
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このように、日本、中國、ロシア、その他の國が、大きな生態(tài)系(「巨大魚付林」)を共有し、その保全のために共同で責(zé)任を擔(dān)っていることが改めて痛感されます。子孫のために、すばらしい環(huán)境を殘していけるように、私たちが協(xié)力をしないと思います。たとえば、 日本も、ODA(政府開発援助)により、中國の松花江流域の環(huán)境汚染への取り組み、三江平原の川の水資源管理などに協(xié)力してきました。
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研究者の皆さんの指摘によれば、実は、冷戦時(shí)代にはこのような國際的な共同研究もなかなか難しく、冷戦が終結(jié)したことで國際的な共同研究も大いに進(jìn)展したとのことでした。環(huán)境保護(hù)のためにも、平和な國際関係が必要だと痛感させられました。
(井出敬二 前在中國日本大使館広報(bào)文化センター所長)
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「チャイナネット」2009年3月2日
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