殘業を「手伝い」と言い換える
日本の法令は、1年目の研修生は殘業をしてはならないと規定している。しかしながら、雇用機関、あるいは研修生にとって、殘業は雙方の暗黙の了解になっている。みんな違法であることは承知しているため、公に口にすることはなく、聞こえがいいように「手伝い」と言い換えている。制度上は殘業が禁じられている研修生の殘業代は1時間300円。実習生の殘業代は時間給の1.25倍と決められているにもかかわらず、1時間350円未満だ。
研修生を受け入れている企業は、毎月、日本と本國の管理機関に管理費を2萬円ずつ支払わなければならないうえ、研修生の宿舎や炊事道具、生活指導員を手配し、各種の保険費用も納めなければならない。したがって、研修生の雇用費用は大學新卒生とたいして変わらない。ただ、熟練工を雇うよりは少なくてすむ。こうした費用の支払いにより、多くの研修生は多額の借金を背負っており、雇用機関のいいなりになるしかないのだ。
研修生の身分はあいまいであり、日本の法令で定められている最低賃金の概念は採用されたことがない。一部の企業は研修制度を低賃金で労働力を確保する手段にしている。このため、多くの研修生が「実習」というかたちをとって、日本の企業の中で安い賃金で働いているのだ。