麗澤大學特任教授 三潴 正道
「ところで、もうすぐお正月だよね」
「そうね、里帰りするんでしょ」
「僕ら中國人は舊暦で新年を祝うのが習慣だから、まだ帰らないよ」
「アッそうだったわね」
「でも、あまり帰りたくないんだ」
「どうして?」
「まず第一に家族や近所への人お土産が大変だよ」
「そんなにお金がかかるの?」
「一か月分の給料は吹っ飛ぶね」
「えーっ、そんなに?」
「それだけじゃないよ。甥や姪にはお年玉をあげなくちゃいけないし」
「でも、中國の人は春節に家族が集まってギョーザを作るんでしょ」
「そう、でもそれがまた憂鬱さ」
「なんで?みんな団欒を楽しんでいるじゃない」
「みんなでおしゃべりしながらギョーザを包む、それ自體は楽しいよ」
「じれったいわね。何が嫌なの?」
「君、一緒に行ってくれる?」
「私が?一人じゃ帰れないってわけ?」
「うん、だって僕はまだ獨身だろ。親からも周りからも集中攻撃さ」
「アッ、結婚のことね」
「その通り。まだ結婚しないの!いつまでぐずぐずしてるの!ってさ」
「で、私を連れて行ってどうするの?」
「一時しのぎだけれど、“逼婚”から逃れられるだろ?」
「と言うことは私を結婚相手だって紹介するわけ?」
「うん」
「それって本気なの?」
「いや、一時しのぎだよ。最近では里帰り同伴アルバイトがあるんだ」
「家族を騙すってことね」
「いや、予定は未定、決定ではないから、騙したとは限らない」
「私はどうなるの」
「一緒に來たらうんとご馳走するよ。うちの正月料理は美味しいよ」
「あきれた!」
「痛っ、蹴るなよ!」
「クリスマスのデート、取り消し!」
「中國網日本語版(チャイナネット)」 2016年12月22日